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ビジネスモバイルITベンチャー実録【朝メール】から抜粋します

北方領土問題よりもロシア大統領に知ってもらいたいこと、日本での治療

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おはようございます。

手がかじかむ季節になりました。いつの間にか12月も後半です。

今朝は、函館新都市病院の院長をされている青野さんという方から聞いたロシアからの医療ツーリズムの事実について。

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■医療ツーリズム

「『日本の高度な医療治療を受けよう。』って、
 サハリンではテレビコマーシャルが流れているみたいよ。」

医療ツーリズムとでもいえるこの現象。盛んになったのは、サハリンの総領事館で日本のVISAが医療治療目的で取れるようになったことが大きいといいます。

函館のその病院には、ロシアからの患者さんたちが次々やってきているとのこと。国際事業課という部署を設立して対応、すでに140名を超える方々への治療を施したそうです。

町立病院、州立病院、鉄道病院、あるいは、メドウ社というエージェントなどからの紹介状を持って、サハリンや、最近は遠路ウラジオストックからも患者さんが来ているようです。

昨晩は、ひょんなことから函館新都市病院という病院の院長さんとのお酒が同席できました。青野允(まこと)さん。父の余市高校時代からの同級生で、現役の院長さんです。もともとは麻酔のご専門、金沢医科大学名誉教授。カンボジアでの難民を救う海外医療援助やパラグアイの病院を設立する際の医師・技術者・看護師の派遣などでも活躍されました。その方からお聞きした話です。

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■治療の費用と内容

ロシアからやってくるので、当然のことながら健康保険のカバー無しの全額負担です。さらには、通訳さんやアテンダントなどの費用もかかるので、1.5倍程度の費用を示すそうです。病院によっては3倍を示すところもあるとか。さらに支払いの不安もあるため、前払いだそうです。

やってくるのはかなりのお金持ちたちです。

治療の内容としては、事故で顔が壊れてしまった人のための形成外科(Plastic Surgery)から、脳神経を専門領域としているその病院には、子供の脳腫瘍や脳動脈瘤などを求められるとのことです。

脳の中の血管の動脈瘤を、足の付け根の血管から入れたコイル状のカテーテルで修正する。それも、リアルタイムで脳の3Dイメージを観察しながら行う治療だと血管の状況やら、脳のどの位置にその器具があるかも把握できます。

極東ロシアではできない高度な医療技術です。

人は人を呼ぶのでしょう。最近はロシアの学生さんで、就職希望者までやってくるそうです。治療のためには、通訳も必要だからです。

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■世界貢献が様々な切り口からできる

おみやげも大切な観光資源、患者さんたちに人気なのが日本の中古品だそうです。もちろん新しい電気製品なども。せっかく日本に来たので、ロシアでは手に入らないものを買って帰ろうとするのですね。

ロシアの人々を日本の医療技術が救っている。目から鱗でした。

すばらしいことだと思いませんか。そして、その治療で救われた人々は、どのように日本のことを思うのか。是非、ロシアのメドヴェージェフ大統領にもしっかりと認識して貰いたい事実です。

医療ツーリズムという名前でくくられてしまいそうですが、日本の清潔な町で手厚いサービスとともに行われる治療、こういったことで世界貢献をするというスタイルもあるわけです。

領土問題で角を突き合わせるのも外交なのでしょうが、このような活動から生まれる個々の人間関係の蓄積パワーは、国と国とのあり方を根本的に変質させていく予感があります。

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★青野さんとのスナップ。竹鶴いただきすぎました!

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