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ビジネスモバイルITベンチャー実録【朝メール】から抜粋します

「劣位表現って何…」悩んでいるとある先輩が教えてくれます

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★劣位の表現の是非について考えていたときに教わりました。

営業のテクニックに「劣位表現」といって、お客様より自分を劣位に置くというものがあります。自分を劣位に置くことでかわいがってもらえる、保護してもらえることが期待できるというものです。

帰国子女の走りだった自分は、この劣位表現がとても苦手でした。国際社会において下手に劣位表現をすると「卑屈な奴」と思われることすらあります。横柄なのが嫌われるのはどの社会でも同じですが、劣位の方がよりさげすまされる世界は多いです。

それでも、郷に入っては郷に従えです。東京で社会人になった新人のころ、なんとかこの劣位表現をマスターしたいと努力してみます。あるとき自宅で仕事の電話に出て、あまりにその様子がへりくだっていたことを、母に「みっともない!」と指摘されました。自分のおかしさに「はっ」と気づいたのです。

自分のような、そもそも劣位表現が下手な者が、立場が悪くなったときだけ無理やりに劣位表現をしようとしても、これは下手な敬語とあいまって妙に気持ちの悪いものになってしまいます。力加減が分からないというのか、嫌味になることの方が多いようです。

それ以来、劣位表現のトレーニングは断念し、「素直な自分」を表現するようにしています。ただ未だに、本当に上手に劣位表現ができる柔軟性を持っている人を見ると、それはそれで羨ましく思えてしまいますね。

自分の苦手な「劣位表現とは何ぞや」。悩んでいると、ある先輩が教えてくれました。当時は営業のベテランの方、今はある大企業関連会社の社長をされている方です。

■劣位表現の効果と副作用

小生は確かに劣位表現が有効であった経験はあります。(特に若いころ)使い方によっては有効ですが、確かに使い方にも要注意です。一種の薬(促進剤)ですから副作用もあります。

小生は現在は「必要に応じて」としています。今はあまり利用しません。つまり、お客さんが極端に古風な購買部タイプの人。相手の虫の居所が悪い時や、こちらが謝りに行った時などだけに限定しています。

それから、これは「若い営業マンが短い付き合いの相手の心に飛び込むのに有効な方法」と考えられますので、会社のハイレベルの人やトップがあまりやると、相手に不安を抱かせるので要注意です。劣位表現までは必要ないでしょう。ただ、相手も社長だったりすると、これがフィットする場合もあり得ますが。

「なるほど」と思いました。

やはり、劣位表現というのは異常な状態のものであり、多用すべきものではないのです。余りに下手に出て電話をする弊社の若い担当者を見たり、あるいは妙にへりくだった挨拶をしてくる他社の営業マンなどを見たりすると、本人には悪いのですが、そのこと自体が気持ち悪く、いやそれよりも本人のことを心配してしまいます。母もこのような気持ちだったのですね。

その人からもう一つの表現を教えてもらいました。それは「優位表現」です。

■優位表現に注意せよ

ただし、劣位表現をしないとはいっても、自分が「優位にはならない程度」にとどめておくことが肝心です。「優位表現」はやはり避けた方が無難です。しかも、無意識に出る態度に要注意です。これで失敗した経験もあります。

ここは自分が一番危ないところです。「なんだか偉そう」と思われることも多いです。それこそ無意識についつい優位表現をしてしまっていることがあるのです。それは実にみっともないことです。反省。 謙虚になりたいと思っていて、「どうだ、俺の方が謙虚だろう!」と、謙虚さを競ってしまうような人間ですから。

そして、その人は、「営業の作法にこだわりすぎるな」とも教えてくれました。

■営業の作法だけでないビジネスを創れ

もう一つ重要なことは、営業の作法とは関係なく売れる商品を造ると言うことです。ビジネスとしては、これが最も重要です。商品力が強ければ、営業力以上のところで勝負できます。

但し、ここが肝心なのですが、商品力(+)と営業力(+)の(++)の総合にすべきで、商品力が強い時は気づかない間に営業力が(-)になることがあります。

その様な(+-)にならないように十分注意すべきです。もちろん(--)では話になりません。このことで一時は良く延びた会社が凋落する例は良くあります。

ビジネスそのものをきっちりと売れる仕組みにする、そのことが重要なのであり、営業の作法にあまりにも走ってしまうのはいけないと。自分たちも気づかずにみじめになるものだし、会社も衰退していくものです。一方、商品力が強すぎるといつのまにか営業力が弱くなってしまう落とし穴というのもあるのです。バランスが難しいです。

★劣位表現だとか優位表現だとか、あまり営業の作法に気を取られる必要は無いようです。自分の本質やビジネスの力を、それも、なるべく素直に表現するということの重要性を再認識できたやりとりでした。人から教わることは多いです。ありがたいです。

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