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ビジネスモバイルITベンチャー実録【朝メール】から抜粋します

日本って便利、だからコギャルが出るのか

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★利便性と引き換えに対価をやり取りするビジネスが一般的です。でもそこには盲点があるように思えます。

【朝メール】20080806より__

===ほぼ毎朝エッセー===

□□便利とは

「日本って便利だということがわかりました。何でも身近で手に入る。
  便利すぎるからコギャルみたいなのが出てくるんすかね。」

あるとき、初めての海外、オーストラリアに行った人から、帰国後最初に聞いた感想でした。彼は続けます。

「タバコひとつ買うんでも大変ですし、何から何まで不便だったんですよね。
  言葉(英語)もありますけど。。」

これを聞いて、ふと、盲目的に利便性を追求することの問題点を考えたりしてみました。利便性が努力無しに手に入るようになってしまうと、コギャルができてくるという図式です。ちょっと面白いので考察してみます。

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人類はずっと身の回りの不便さを解消しようとさまざまな努力を続けてきています。基本的には自分あるいは自分たちで工夫をして、少しでも良くなるようにしています。それが、お金という媒体ができてからは様相が変わりました。お金を払うということで不便さが解消できる、「利便性の対価ビジネス」が成立したのです。

我々も、お客様がCACHATTOを、少しでも便利に使えたらいいと、さまざまな改善を加えてきています。セキュリティも自社でゼロから構築するよりは、CACHATTOという出来上がったものを使ってしまったほうが楽です。大きくは構築・運用管理者の利便性を対価としていただけているのです。

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対価は市場原理で決まります。需要があって供給が少なければ高いものになるし、供給が多くて需要が少なくなれば安くなります。利便性についての対価もそれで決まります。マッサージ師が少なくなって癒しを必要とする人が多いのであれば値段は上がります。今は10分1000円がマッサージの利便性対価です。CACHATTOは1ヶ月使って500円、それくらいの位置にあるのでしょう。

考えてみれば、本来焼き鳥一つ食べるのだって大変です。鳥を育てて殺してさばいて、裏山にある竹から取ってきた串に指す。秘伝のたれは長年かけてつぼで熟成したもの。焼くための炭も裏の釜でこれまた、自分で取ってきた薪から焼成する。それで初めて焼き鳥が食べられるのです。それが100円やそこいらの金額で手に入るのです。

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他者の利便性を高めるための、自分ができる仕事について対価を得て、その対価で別な利便性を得ています。お金が何らかの手段で手に入れば、殆どあらゆることの利便性が享受できます。個人単位でも会社単位でも、そういう図式の中で我々は生きています。コギャルだからではなく、社会全体がそのようになっているということです。

オーストラリアより格段に便利な日本でしょう。でも逆に言えば、格段に自分の周りのことをやらない人々が多いのだということでもあります。やらないうちはいいのですが、やれなくなっている。さらには、やれないことに気がついていないのかも知れません。やはり無人島に投げ出されたりしたときに、何とかサバイバルできるようにいたいです。少なくとも心がけでも。

怖いのは、専門性の高いことだけが出来ていて、それに気がつかずに傲慢になってしまうことです。身の回りのことは、あえて心がけてでも自分たちでやっていきたいものだと思います。だから会社の仕事では、外部に頼むことと内部でできること、そこに選択肢があった場合、殆どの場合、内部で実施するようにしているわけです。

★コギャルも一つの専門職なのかな。

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