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ビジネスモバイルITベンチャー実録【朝メール】から抜粋します

2009年10大ニュース7位

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【朝メール】20091217より__

===ほぼ毎朝エッセー===

□□2009年の10大ニュース(4) 7位

第10位 「9年ぶりの増資」
第9位 「ボーナス3回化」
第8位 「NTTドコモとのビジネスが始まる」

さて、第7位は??

相次ぐ競合撤退:アクセスシンプル、インテリシンク、SMG」です。

携帯電話での社内メールアクセスという分野でくくると、大手企業を中心に競合が撤退しています。理由としては狙った場所の市場がまだ出来上がっていなかったというケースと、システム構築案件が不況で軒並み凍結されてしまっているというケースとがあります。

狙った市場がまだ出来上がっていなかったケース
docomoのアクセスシンプルとシャープのSMG(セキュア・メッセージ・ゲート)は、月額課金でSaaSやASPに近いサービスです。SaaSやASPは月額の利用料金が比較的小さいので、ユーザーとしては安く済むのですが、提供側とすれば採算ラインに達するまでに、かなりの利用者数を稼がなければならないという宿命があります。docomoやシャープのような体力を持っているところでも、採算ラインに達するまでの赤字事業を続けるわけには行かないという判断が働いたのでしょう。いわゆるSaaS/ASP信奉によるSaaS/ASP病です。

CACHATTOもサービスとしては、SaaSやASPと近いコンセプトなのですが、初年度に若干高めの費用をいただき、月額利用というよりは、年次更新で利用してもらうスタイルにしています。完全なSaaS/ASPでは採算割れする可能性が高いと見ていたからです。結果的には今は適度なサイズのお客様にご利用いただいており、上記のSaaS/ASP病にはかからずに順調に事業を伸ばすことができています。逆に言えば、いま、この利用者数にきているので、あえて、よりSaaSやASP的な打ち出し方をすることもできる可能性もあります。慎重に動きますが、実に楽しみです。

システム構築が軒並み凍結されているケース
一方、インテリシンクの場合は、親会社だったノキア社が日本の携帯電話市場からの撤退を決めたことにあわせて、きっと不採算事業だったのでしょう、同時に撤退を決めたのです。インテリシンクはいわゆるソフトウェアをパッケージとして販売、そしてシステムインテグレーターがお客様から構築費用をもらいながら導入していくというスタイルの製品です。同じ分野に入るものとして、フォンコネクト、ExLook、sMobile、モコナビ、コネクトワンなど、多数のものがあります。

この不況の中で、この手のシステム構築を必要としている製品は軒並み、投資凍結のあおりを受けて案件が止まっています。ゆえにこの1年間は、システム構築を主な事業としている会社の業績悪化がかなりひどいです。このところCACHATTOの競合というものでテーブルに乗る製品が少なくなってきていることからも、競合品たちは苦戦している模様が伺われます。

この状況は自分たちにとってのチャンスであるとばかりに、デモ導入と小型案件での販売を積極的に進めてきました。CACHATTOは導入容易性と相まって、品質の安定性が高まりました。それゆえ、多数のデモ導入を先に実施するという、昨年の今頃までは到底無理と恐れていた大胆な戦略を取ることができたのです。その結果、導入作業は、ほぼ毎日発生、そして、その半数近くが本番稼動というスタイルが確立できました。様々な要素が追い風になっていることに幸運を感じます。

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