いつの間にか忍び込む理系用語・IT用語
★「デフォルト、これ、ありえないよ。。」いつの間にか変な用語を会話に使っていることにびっくりしてしまいます。
【朝メール】20080117より__
===ほぼ毎朝エッセー===
□□理系用語・IT用語
今の『40代トリオ』(坂本・原口・多喜乃を指すe-Jan内での隠語)は、たまに若い世代の人たちと言葉がずれます。昨晩のやり取りです。
(坂)「うぁ、また価格表に間違い見つけてしまったぁ (>_<)。。」
(堀)「痛いですね。。間違い、どうして事前に見つからないんですか?」
(史)「どうにも外乱(がいらん)多いからねぇ。集中できていない。」
(堀)「えっ、外乱って?」
(多)「何かをやろうとしているときに別なことが入って途切れて、
またその状態に戻ろうとするとなかなか戻れなかったり。。
そのときの外からの事柄を外乱っていいますよ。」
(坂)「そう、ディスターブされる、ってこと」
(堀)「えぇー?知りませんよ、そんな言葉」
(坂)「Gucci (原口のニックネーム) 知っているよね?」
(原)「もちろん。外乱要因とか言うじゃない。」
(堀)「えぇー、始めて聞きましたぁ!」
(坂)「お、この間の『銀塩写真』のような世代の差か?
サトさん、知っているよね、『外乱』」
そういって30代になった佐藤さんに聞いて見ます。
それを聞いて佐藤さんは困惑した顔しています。
(佐)「え?どうやって書くのですか?」
(坂)「ええっ?知らないの?外と乱すでガイラン。」
(佐)「歴史とか政治で内乱なら聞いたことありますけど。。」
(坂)「ん。。確かに。内乱と比べると外乱って確かに変な
表現なような気がしてきたかも。。」
堀田さんは早速ネットで調べています。
(堀)「なんだかこれ、どうやら理系用語ですよぉ、
『外乱』とは『(機械や電気のシステムにおいて)秩序ある
動作状態や平衡状態などを乱すシステム外からの作用』って
ありますから。」
(多・原・坂) 「ええっ~! ショック」
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先日も、すっかりデジタル化されたカメラに対しての対語として昔のカメラを何て呼ぶかという質問に対して『銀塩写真』という表現をしてみました。それを聞いた堀田さん、たいそう驚いて「初めて聞きましたぁ、何ですかそれ?」と。その後、堀田さんの調査で30歳を境に『銀塩写真』を知っている人と知らない人とが別れるとのことです。世代によるボキャブラリー言葉の違いって発生してきています。
今回の『外乱』についても世代による差かと思っていた訳ですが、どうやらこれは、理科の実験などで理論値どおりに結果が出ないことに外からの要素が影響することを指す『外乱要因』という言葉を、いつの間にか普通の日本語という勘違いをしていた理系病だということが分かりました。『40代トリオ』は理系の学科出身なので、たまにそういう変な言葉を当たり前のように考えてしまっています。
他にも『律速(りっそく)段階』という言葉を多様したりします。これは一連のプロセスがあるときに、一番遅いプロセスを指して、全体の流れのスピードを決める意味で『律速』と表現します。いわゆるボトルネックのことですね。化学反応は一挙に進んでいるかと見えても実際には一番遅い反応のプロセスが全体の反応速度を律しているところから、その一番遅い反応プロセスを『律速段階』と呼びます。
それなので40代トリオは何かの共同作業をしているときに、ボトルネックになっている人や作業を指して、「そこが律速段階だねぇ」などと使うことがあります。それを聞く人が分かったような分からないような微妙な表情を返したときに「しまった、またやってしまったか!?」と理系用語を反省したりしてしまいます。
IT用語というのもあります。「俺、デフォルトでだらしないからさ」と使うときの『デフォルト』です。これはコンピュータなどでの初期設定値をdefault valueと表現をするところから、『デフォルト』を「元々の」というような意味で表現してしまっているときに使っています。会社の中では普通に使ってしまっているような言葉が、いつの間にか、他の人からは分からない言葉に進化してしまっている一例です。
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言葉は絶えず進化しています。きっとKumarさんと我々の間で話している英語も、すっかり英語ライクなe-Jan語というものになりつつあります。たまにアメリカ人と英語で話すとすっかり不思議な言い回しとアクセントが身についている自分に赤面したりします。普段、会話をしている人たちはお互いに分かり合おうと努力するので、言葉はその中間的なところに自然に推移していくという性質があるようですね。
こんな風に言葉が変質していくのも文化醸成の一つなのでしょうけど、変わった言葉で物事を理解しているということは、たまに思い出しながらあまりずれたことを言わないようにしなければいけないものだと、ちょっと反省するような一面でもありました。