インド道中 (その5) エアコンバスが速い?
★【朝メール】20050805より__
今、バンガロールはベンガルールと呼び方が変わっています。
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おはようございます。
バンガロールへのバスの移動は無事にすみました。
こちらではホテルが満室だったのでよりリーズナブルな
ゲストハウスというまかない付きのところに入りました。
ADSL接続があるので通信ができます。
===ほぼ毎朝エッセー===
□□バンガロール
ティルパティからバンガロールへの移動はバスです。
長距離バスには何種類かあるそうです。
普通バス、エクスプレスバス、エアバス、そしてACバスです。
ACバスは人気があって、圧倒的に早く着くそうです。
そして今回の私の移動にはACバスの切符を取ってくれました。
ACのいわれを聞くとエアコンだとのことです。
「ん?なんでバスにエアコンがついていると早いの?」
こんな疑問が沸いたのでKumarに聞くと、
「エアコンがついているのは最新バスだからね。
スピードが出るんだよ。」
とこう、こともなげに言います。
スピードを出せる車両が出せるだけ追い抜きながら走る、
これがインドの田舎道の行きかたです。弱肉強食の世界ですね。
さて、実際にバスターミナルに行きます。
いろんな種類のバスがあります。Kumarは一台一台説明してくれます。
ボロボロの普通バス:「確かにスピードは出そうにないよな。」
ボロボロを快速にしたエクスプレスバス:「これで飛ばしてもねぇ…」
エアサスペンションを実装しているというエアバス:
「飛行機じゃないのね。なんかエアロパーツまでつけて、
でも、中途半端に古い感じだなぁ…」
そして人気のACバス:「おっ、はとバスみたいじゃん」
そう、ACバスはいわゆる観光バスです。
メーカーをみるとVOLVOと書いてあります。ボルボ製です。
ボルボは世界的なトラック・バスメーカーです。
バンガロールの街中にあるバスターミナルまで行くとすると
渋滞に巻き込まれるというので、Kumarは途中の場所で降りるのが
いいと言います。バンガロールにいるKaranth(カーラント)と携帯で
何度か調整をしてくれ、Pallavi Movie Theatreの前で下車するのが
いいと指示されました。
途中下車なので万が一はぐれたときの頼みは携帯電話だけです。
せっかく日本から持っていったFOMAなのですが、インドからかけると
国際電話になってしまいます。それなので、Kumarがバンガロールで
使っていたSIMカードを借りることにしました。SIMカードを差し込めば
FOMAはインドの国内携帯電話になるはずです。
ところがいざ試してみるとFOMAはSIMカードは受け付けてくれません。
(日本の携帯は本当に国際規格から外れているのですね… )
急遽Kumarは自分の手持ちの携帯に、貸してくれるSIMカードを入れて、
インド国内で使える携帯電話として持たせてくれました。
万が一バンガロールでKaranthに会えなかったら困るというので、
別な友人へも連絡して電話番号を託してくれました。
バスに乗り込むとKumarは車掌さんに降りる場所を現地語で厳密に
説明してくれ、念のため近場の乗客に降りる場所が近づいたら車掌に
知らせるように言ってくれます。
一緒に見送りに来ているKumarの友人のJagadeesh(ジャガディッシュ)が
ニコニコと買ってきたマンゴジュースを手渡してくれます。
まるで子供が新幹線に乗って夏休みの一人旅をするみたいです。
万全の体制です。本当に心配をかけてしまっています。 m(_ _)m
ACバスはバンガロールへと発進したのでした。
走り出すとすぐに、あまりのスムーズさと視界のよさに驚きます。
でこぼこ道をタクシーで飛ばすのとはかなり全く違います。
まず、運転席が見えないので追い越しのたびにびくびくする
ことはありません。そして、この車体剛性の高いボルボ、
思い重量とパワフルなエンジンとしなやかなサスペンションとの
組み合わせで飛行機に乗っているがごとく快適なのです。
社内にあるSONYのテレビからNIPPONという会社のロゴが現れます。
そして始まりました。CDビデオによる歌と踊りが満載のご機嫌な
インド映画!言葉がわからなくてもストーリーがわかってしまう
ところがさすがです。社内では大笑いをしている人もいます。
NIPPONというCDビデオの会社があるのですね…。
社内に流れる映画の音楽、車窓に流れるインドの田舎の風景、
タクシーでの移動とはかなり違います。風景をじっくりと
眺めることができました。
途中、30分ばかりの停車があって、そこでレストランに
飛び込みお昼ご飯を食べます。適当に注文してチキンベースの
チャーハンみたいなものとペプシで食事を終えます。
再びバスに乗り込み、ちょうど5時間で235kmの行程が
完了しました。タクシーの平均時速40kmより早いことになります。
さすがエアコンバスです。
目的地が近づくと、近場の乗客が車掌さんにちゃんと知らせて
くれました。車掌さんももちろん気がついているよと、こちらを
向いて目配せをしてくれます。インド人は、一見にらんでいる
ようで怖いのですが、ひるまずにこちらが笑顔を見せると、
すぐに向こうもニコニコっとして首を斜めに振ります。
基本的に人がいいです。
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バスを降り、無事に迎えにきてくれているKaranthに会います。
もちろん、心配しているであろうKumarにはすぐに連絡します。
KaranthはEximSoft(エグジムソフト)という会社を運営していて、
かれこれ5年前からの知り合いになります。お客様との長期的信頼関係を
重視する人で、その価値観は自分と同じなので気が合っています。
150名程度の比較的小さな会社のEximSoftでは、この数年来、
大手からお金をベースに有能な技術者をどんどんと引き抜かれてしまう、
一方、決定的な販売力が足りなく、業績がかなり悪化していました。
ついに昨年Trianz(トライアンズ)という会社に合併されたのです。
彼らの苦しい時期は、e-Janでもとても苦しい時期でした。
日本にKaranthが来るたびにいろいろと悩み事をシェアしたような仲間です。
e-Janの主要株主の東レは、我々の成長ポテンシャルを信じてくれました。
e-Janはなんとかそのまま事業を継続させてもらっています。ところが、
通常のベンチャーキャピタリストがメインの投資家であったEximSoftには、
事業を撤収するか合併されるという選択肢しかなかったのです。
e-Janの主要株主が理解のある東レであることをKaranthは本当に
うらやましがっていました。
結局EximSoftは合併されるという選択肢を取ったのですが、合併側と
被合併側とでは占領軍と敗戦国です。経営陣同士はうまく行きません。
Karanthは現状、Trianzの経営からはほとんど手を引いています。
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Karanthはあまりお酒を飲みません。
私は好物のKingFisherビールを飲みないます。
いろいろなことを話します。いつもこのスタイルです。
「この2-3ヶ月でインドに対する日本からの投資は
ものすごく増えているよ。」
「え?IT関連でですか?」
「いやいや、小泉内閣の要人が立て続けにやってきて、
それで普通の工場設立とかそういった動きがかなり
激しくなっているんだよ。」
「マーティン・スズキが成功したようにですかね?」
「スズキはいま76%だったかな?シェアを持っていて
トヨタもホンダも、ラーメンのなんていったかな、
そう、ニッシンも、どんどんインドに工場を持ってきている。」
「やはり中国だけじゃ危ないという感覚ですね。」
「そうそう。インドへの投資でお金をもうけることができると
日本の企業がいっせいに気がついた感じだね。実際に株式
への投資も増えているんだ。」
「日本企業はいつも慎重ですからね。」
「そう。でも日本企業は一度始めると長期的な付き合いを
主眼にして投資してくる。アメリカみたいな投機的な
動きをしないからね。そこが日本企業の信頼できる
ところなんだよね。」
「日本企業からいくつかコンタクトはあるのですか?
工場誘致って、EximSoft前にKaranthさんが得意としていた
お仕事じゃないですか。」
「先日、ムンバイで日本とコンタクトが深い150人に
選ばれて話しにいったんだ。光栄だったよ。
そこからコンタクトができてくるといいしね。
まだまだこれからだけど。」
「そうですね。何とか助けになれるといいのですが…。」
そう。信頼感が続くと、このように直接のビジネスでなくても
その人物を助けたいという気持ちになりますよね。それなので、
信頼関係を築けるのはとても大切なビジネス要素だとあらためて
実感しました。
ビールを呑んだ後、Karanthは「インド料理漬けでそろそろ違う
ものが食べたかろう」と行きつけの中華料理屋さんに連れて
行ってくれました。日本食屋さんも3軒ほどできたそうですが、
殆どは出張や駐在の日本人ばかりであまり流行っていないそうです。
スパイスが中心のきつい味覚のインド料理と比べて、
ダシ味が中心の中華料理はやはり舌に優しかったです。
夜には用意してくれたゲストハウスに行きます。
ホテルは予約がいっぱいで取れなかったそうです。
ゲストハウスは中長期に滞在する人たち向けのまかないつきの
ところです。物価の高いバンガロールでも一泊5000円程度で
宿泊でき、朝食がつきます。
今回の驚きはそこにもADSLのモデムが実装されていたことです。
それを見てKaranthが嬉しげに言います。
「ほら、インドも進んできただろ!」
===post script===
今日はTrianz訪問です。今後インドでの開発体制は
充実させる計画ではないのでちょっとつらいミーティングです!
週末はまたティルパティに戻っていよいよKumarの結婚式です。
せっかくなので聖地の山の頂上にあるお寺参りもしてみたいと
思っています。