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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

米国ではデマンドレスポンスがなぜ必要とされ、何に効果があるか?

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毎月行っているスマートコミュニティ勉強会(旧称スマートグリッド勉強会)で昨日発表させていただいた素材がなかなかおもしろいので(手前味噌ですみません)、こちらでもシェアさせていただきます。

内容は、

・米国においてデマンドレスポンスが必要とされる本当の理由(卸売市場ではピークに価格が数倍~十数倍に跳ね上がることがあり、PJM全体で小売会社は年間1,000億円程度をピーク分として余計に支払っている可能性がある。この「余計に支払っている分」を回避するために小売会社はDRに取り組む理由がある)
・卸売市場で価格が高止まりする=発電事業者が売り惜しみをするメカニズム
・オバマ政権から2億ドルを得たProgress Energyが取り組んでいる家庭用DLCプログラム、EnergyWiseの概要(ビデオを観ることをお勧めします
・米国のデマンドレスポンスでは、どの対象に対するどうのような方策が効果があるか。(インターテックリサーチ・新谷さんのブログから)

となっています。

PDFファイルはこちら↓

米国ではデマンドレスポンスがなぜ必要とされ、何に効果があるか?

発表素材づくりのために調べていて興味深いと思ったポイントをかいつまんで説明します。

日本で「デマンドレスポンス」が語られる際には、わりと漠然と、米国の電力供給が不足ぎみだから、ピーク需要を削るためにデマンドレスポンスが有効なんだよね…といった風に認識されていると思います。「なんとなくデマンドレスポンスが有効そうである」という、比較的漠とした認識です。
今回たまたま、PJMの電力卸売市場の日ベースの価格データを見る機会があり、猛暑だったと言われた昨年夏はどうだったのだろうと確かめてみると、ひたすら「ものすごい!」の一言につきる価格の急騰が見られました。
ちなみに以下のように深夜とピーク時とでは価格に16倍もの開きがあります。

Peakwholesale

すべてはここから始まりました。なぜこのような価格の急騰が見られるのか?誰がいくらぐらい、この高いピークの電力調達費を払っているのか?市場全体でかなりの金額がピーク電力購入用に支払われているとすれば、それを削減するためにデマンドレスポンスに取り組まざるを得ないだろう。デマンドレスポンスを実施するとすれば、いくらぐらいのコストなら見合うのか?といった形で、色々と疑問が湧いてきて、それらを簡単に確かめてみたという次第です。詳細はPDFをご覧ください。

実は昨日の勉強会では、以上の米国のデマンドレスポンスに関する知見をベースに、「では、日本ではどのようなデマンドレスポンスが合っており、いくらぐらいまでコストをかけられるのか?」ということについても簡単にメモ&試算を作って発表しました。中身がかなりラフであり、ここで公開するレベルには達していないので、それについてはシェアを見合わせます。

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