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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

インドネシアのインフラPPP案件でわかったこと

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視察の準備ということでジャカルタに1週間強滞在し、運輸省、国家開発計画局(BAPPENAS)、インフラ専門のコンサルティング会社SMEC、政府系電力会社PLN、政府系インフラ金融機関Indonesia Infrastructure Guarantee Fundなどを回りました。

判明したことを粗々記すと、以下のようになります。

・インドネシア政府としては、外国企業の入札参加が期待されているインフラPPP案件については、"PPP Book"で毎年公開していく方針。
・現在"PPP Book"で公開されているインフラPPP案件は、おおむね、運輸省(Ministry of Transportation)、公共事業省(Ministry of Public Works)、政府系電力会社PLN、各州政府がプロジェクトオーナーとなっている。
・運輸省の担当領域:空港、港湾、鉄道、石炭鉄道、都市交通
・公共事業省の担当領域:有料道路、上下水道、ごみ
・政府系電力会社PLNの担当領域:発電(同社が民間から電力を調達する形態は随意契約に近いIPPが主流で、PPPは例外的な存在)
・入札参加を希望する企業はこれらのプロジェクトオーナーとやりとりをするのが建前。
・一方、インドネシアにとってPPPはまだまだ揺籃期にあり、プロジェクトオーナーとなる省や州政府などではノウハウの蓄積を図っているところ。(なお世界的に見ても、PPPに習熟している国は英国とオーストラリアぐらいのものです。)
・インドネシアのすべてのインフラPPP案件の指導監督をBAPPENASが行っている。個別のインフラPPP案件が競争入札案件として内外の企業に公開される過程はBAPPENASがコントロールする。
・インフラPPP案件では外国企業の参加が期待されている。ただし、競争入札にかけられるフェーズよりも前、プレフィージビリティスタディないしフィージビリティスタディの段階からの参画が大いに求められている。
・すべてのインフラPPP案件は、法律により必ず競争入札を行わなければならないが、民間企業がフィージビリティスタディを実施した場合は、以下の優遇が受けられる
 1)入札参加者を評価する際の得点において優遇(10%付加)
 2)落札者が決定する直前に、落札に一番近い位置にいる入札者が提示した条件(価格)等にぶつけられる条件を設定する権利を得る
 3)入札を辞退する際にはフィージビリティスタディの結果を応分の価格で買い取ってもらえる

同国初のPPP案件となった中部ジャワ石炭火力発電所(1,000MW×2基)は、今年6月に伊藤忠とJパワー(電源開発)のコンソーシアムが落札したこともあり、インドネシア政府の関係者が日本企業にかける期待は大きいと言えます。

入札参加に興味のある企業は積極的にアプローチすべきでしょう。現在準備中で来年に競争入札にかけられる案件がいくつかあります。個別の案件のおおまかなスケジュールについては"PPP Book 2011"に記載されています。

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