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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

[メモ] インドネシアが2025年までにGDPトップ10入りを果たすには

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インドネシア関連の資料を読んでいると、よく「2025年までにGDPで第10位以内に入ることを目指す」という目標が出てきます。これは、今年の5月下旬にユドヨノ大統領が正式に発表したマスタープランが掲げている目標のようです。

Reuters: Indonesia president lays out plan to become top 10 economy

最近の経済記事では至るところに登場します。いわく、「2025年にトップ10入りするにはもっとインフラを整備しなければダメだ」とか、「経済規模上位10カ国の仲間入りをするには、ITインフラへの投資が不可欠だ」といった具合です。

同国は人口が2億3,000万人で世界第4位。この人口大国であることをベースに、毎年7.5〜9%の経済成長を続けていけば、2025年にはGDPでトップ10入りする見通しのようです。現在のGDPは7,000億ドルあまりで第18位。これを4兆〜4兆5,000億ドルまで拡大させることが目標で、現在のドイツと日本の中間ぐらいの規模がありますから、間違いなくトップ10入りが果たせるでしょう。

これに関して、どのような国を「敵」としているのか、あるいは追い抜こうとしているのかを確かめてみました。以下が現在のGDPのランキングです。(世界銀行2010年データによる。単位100万米ドル)

Gdpranking2_2

まず、同国の経済成長は人口基盤の大きさと1人当たりGDPの速いペースの成長が前提となっていますから、人口が少なくて成長ペースが鈍っている国というのは、すべてゴボウ抜きの対象です。下から行くと16位オランダ、15位オーストラリア(人口2,130万人)、14位韓国、13位メキシコ、12位スペインといったところ。17位トルコは人口が7,500万人あり、リーマンショック直後は別として5〜8%の経済成長を続けていますから、当面は似たようなペースで順位を上げていくのではないでしょうか。抜けるとしてもずっと先の話になりそうです。

インドネシアが10位入りするには、トルコ以外にあと2カ国を追い抜かなければなりません。

現在はトップ10であっても、そこから落ちる可能性のある国としては…。人口が比較的少なく、経済成長が鈍っている国ということで見ると、10位カナダ(人口3,400万人)、8位イタリア(6,000万人)あたりということになるのでしょうか。11位ロシアは人口が1億4,200万。天然ガスと原油の上位産出国であり、これから化石燃料の価格が上がりそうな雰囲気があることからすると、順位ががくんと落ちる可能性はなさそうです(2025年までに枯渇すれば別ですが…)。
とするとインドネシアが確実に抜き去らなければならない国はカナダとイタリアだと考えてよさそうです。

あ、カナダが資源国であり、天然ガスや石炭を豊富に産出することを見落としていました。カナダが資源・エネルギー価格の高騰で現在の10位前後をキープするとすれば、インドネシアが追い抜かなければならない最後の1カ国は…、インドはあり得ないし、ブラジル(人口1億9,400万)でもなさそうということで、英国になってきます。

ということで、インドネシアがGDPでベスト10入りするには、これだけの国を追い抜くことが必要になってきます。実際に起こると大変なことになりますね。
翻って日本も明治維新の頃から高度成長期までを考えれば、10カ国ぐらい(イギリス、フランス、イタリア、ドイツ、ロシア、スペイン、オランダ、カナダ、オーストラリア、アルゼンチン、オーストリアなど?)をゴボウ抜きしてきたでしょうから、それに似たことが起こってもよいということは言えます。

日本の順位の変化は…。皆目見当がつきません。ブラジルに抜かれたりするんでしょうか?

あとはASEAN10カ国が経済共同体としてまとまってくると、インドネシアを含んでいるASEANは確実にベスト10に入るでしょうね。現時点でもEUは米国よりも大きなGDP規模を持っています。

[追記]

インドネシアは現在の1人当たりGDPが、いわゆる紙おむつが売れ始める3,000ドルを超えたばかりですが、こちらの記事にある同国経済相のコメントによると2014年には5,000ドルに到達するとのことです。

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