David Imaizumi, CEO of JC-CJ at Boston, a cryptocurrency issuing company, writes all about next generation cryptocurrency and the like. 仮想貨幣発行会社JC-CJ(本社ボストン)CEOの今泉大輔がJCやその他の仮想貨幣について書きまくります。

インフラPPP(官民連携)は世界的にはまだまだ発展途上

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定常的に各国のインフラPPPの動きを追いかけております。最近、上水道・下水道、発電、都市整備、空港、公共交通といったインフラ系のPPPプロジェクトに関するノウハウは、世界的に、まだまだ学習過程にあるのだなということに気づきました。日本で流通している情報だけを見ると、日本は世界と比べて遅れているのではという印象がありますが、現実は決してそうではありません。

■政府や自治体の担当者がPPPを理解して初めて、PPP案件が動き出す

PPPは、官における調達手法のイノベーションという性格があります
。イノベーション一般の傾向として、その採用者は、イノベーター、アーリーアダプター、アーリーマジョリティ、レイトマジョリティ、ラガード(ドーマント)という5つに分類されることが広く知られています。分布のさまは正規分布を描きます。1980年代後半および1990年代にPPPプロジェクトをいくつか実施して、すでにノウハウを蓄えている国、例えば、英国、オーストラリア、中東産油国などは、イノベーターないしアーリーアダプターに属しており、全体から見れば1〜2割と言ってもいいところではないでしょうか。残る圧倒的大多数の国々はいままさにPPPを勉強しているところだと思われます。

なぜそう言えるかと言うと、国連系のPPPを推進する機関が、世界各国の政府・自治体でインフラ系の調達に関係する担当者を啓蒙し、トレーニングするためのイベントや情報提供を、現在進行形で積極的に行っているからです。
PPPは、事の性格として、政府・自治体のインフラ関連の調達に携わる担当者が、PPPの何たるかをよく理解した上で、案件としてパッケージングし、民間に情報を伝達して入札を募る必要があります。最初に担当者ありき。担当者が「このインフラ案件はPPPで行こう」と発案しない限りは、案件が生じないわけです。

従って、PPPを活性化させるには、国連系のPPP推進機関、あるいは世界開発銀行やアジア開発銀行など、国や自治体の上位にある機関が、各国の政府・自治体の担当者を啓蒙しなければなりません(それと同様に、各国政府においては、傘下の自治体の調達担当者がスムーズにPPP案件を組成できるように啓蒙教育する必要があります。インド政府のこのサイトはそれを行っています。日本でも内閣府の民間資金等活用事業推進室が地方自治体の担当者を対象にPFIに関する標準的な推進手法のノウハウ配布を行っています)。PPPは無論、インフラを整備するには非常に優れた枠組みであるので、国連系のPPP推進機関や世界開発銀行などはこれを奨励する大義があります。しかし単にかけ声だけでは始まらないので、まずは、政府や自治体の中でインフラ系の調達を行う担当者に向けて、啓蒙やトレーニングを行っているのです。

PPPの世界では"Capacity Building”という言葉があります。これは、政府や自治体の調達担当者において、継続的に多数のPPP案件が生み出せるような「キャパを作る」という意味です。それはすなわち、担当者がPPPをよく理解して、いくつもの案件を民間に対する競争入札にかけることができるようになるためのスキルを醸成することに他なりません。インフラ整備を活性化させるには、迂遠なように思えて、それが一番早いということになります。

■国連系のPPPを推進する機関

国連系のPPP推進機関には、主としてアジアをカバーするUNESCAP(United Nations Economic and Social Commission for Asia and Pacific)と欧州に拠点を置くUNECE(United Nations Economic Commission for Europe)があります。
サイトで活動を確認するとUNESCAPはアジアに特化した活動を行っているようですが、UNECEは欧州に関係した機関でありながらも、国連が管轄するアジアを含む他の4地域も視野に収めたPPPのノウハウ開発の世界センターであろうとしています。

こうした機関が政府や自治体の担当者を対象に主催しているイベントのプログラム、および、ウェブサイトなどを通じて提供している啓蒙用ドキュメントの類をよく読むと、それらの国々におけるPPPの理解の水準がおおむね推察できます。そしてそれによってわかるのは、上述の通り、圧倒的大多数の国々においては、いままさにPPPのイロハを勉強しているところだということです。そして、これから数年程度で、PPPの案件パッケージング手法を学んだ政府・自治体の担当者による、PPPを使った競争入札が盛んになってくるのではないかと思われます。
というのも、政府や自治体に潤沢に予算があるという国は、世界を見渡しても石油産油国ぐらいしかないわけで、他の多くの国々は予算面の制約があります。アメリカですら財政赤字の問題が顕在化しています。一方、インフラの新設や修復の需要はエネルギーから都市インフラに至るまでどこの国でも膨大にあるわけで、帰結点は、民間のファイナンス力と収益力を当て込んだインフラPPPプロジェクトということになります。
従って、インフラPPP関連市場は、アジアの新興国に限らず世界的各国で、これから非常に大きなものになってくることが予想されます。

日本で海外のインフラPPPプロジェクト(インフラ輸出)に進出しようという企業は、こうした「今学びつつある国々」と歩調を合わせて進めばよく、今から始めたとしても、決して遅いということはないと思います。

■PPPの世界標準はすでに提供されている

ポイントは、これらの国々が学びつつあるPPPのフォーマットは、国連系の上記機関、EUの関係セクション(現在確認中)や、世界開発銀行、アジア開発銀行などが無料で提供している、ひな形となる契約書群を「標準」として用いることになるだろうということです。
無論、個々の国の固有事情に合わせてある程度はカスタマイズするのでしょうが、ひな形はおそらく、そうした国際系の機関が提供しているものが採用されると思われます。
(それに準じて、ひな形になりうるのが、世界各国の先行するPPP案件で膨大な経験を有する国際的な法律事務所が社内に持っている「ひな形」です。また、プロジェクトファイナンスを多数手がけている世界最大手銀行にも、同種の「ひな形」があるものと思われます。日本で言えば国際協力銀行ということになるでしょう。さらには、インフラ案件を多数手がけている大手総合商社にも、そのような「ひな形」はあると思われます。しかし、インフラ案件を「作り出す」立場の世界各国の政府や自治体の担当者が、それら私企業(およびそれに準じる金融機関)が持つ「ひな形」にアクセスできるかと言うと、アクセスできるケースは大型の投資金額を伴う国際的案件に携わる場合のみに限定されるでしょう。別な言い方をすれば、高額のアドバイザリーフィーを支払って、そうした国際的ノウハウを蓄積した専門家からアドバイスを受けられる案件に限るでしょう。従って、件数ベースでは、こうした国際機関が提供しているひな形が多く採用されることになる、すなわち、それらが標準になるのではないでしょうか?)

機会があれば、そうした公開されているひな形を熟読吟味して、特徴の抽出を行いたいところです。

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[告知]セミナー:インフラ輸出の現実的アプローチ(主催:新社会システム総合研究所)
開催日時:2011年4月25日(月)午前10時〜午後0時
会場:SSK セミナールーム(東京都港区西新橋2−6−2 友泉西新橋ビル4F)
内容構成はこちらにある通り。

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