Report on Japan's infrastructure topic on weekend.

商社が水ビジネスに取り組む理由

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今日はごく基本的な事柄の確認ということで記します。
水関連のビジネスは世界で見れば100兆円以上の規模があります。市場規模を説明する際によく使われるチャートでは、数字を単純化して、水処理膜やポンプ等の機材・素材関連が1兆円、上下水道や海水淡水化のプラント建設市場が10兆円、われわれが日頃お世話になっている上水道や下水道のサービス市場が100兆円とうたっています。なおこれは2025年の予測値です。端的に言って、向き合う顧客の数が多くなれば、それに応じて市場規模も拡大するということでしょう。

上下水道のサービスは世界で見れば何十億人の顧客を相手にすることになり、各世帯から毎月数百円〜数千円のサービス料徴収が見込めます。また、一度施設を作れば、恒常的な維持管理は必要なるものの、20〜40年の長期にわたってサービス収入を生み出す収益源となります。日本企業もこの巨大な市場を目指して活発に動いています。日本政府のインフラ輸出政策においても、水の分野は柱の1つであり、国土交通省が運営している「海外水インフラPPP協議会」には100以上の日本企業が集まって情報交換などを行っています。水関連で活躍している内外の企業を整理した図が以下です。

Water_market

出典:「世界の水環境問題に貢献する日本の膜技術と水国家戦略」東レ株式会社 フェロー・工学博士 栗原優(2010年7月)

■商社が上下水道事業に取り組む背景

水関連の巨大な市場のうち、その大部分を占める上水道事業、下水道事業の分野に積極的に取り組んでいるのが日本の商社です。以下に最近の各社の動きをピックアップします。

三菱商事(産業革新機構・日揮):本邦初の官民連携による豪州水道事業会社の買収(2010/5/11)
伊藤忠:豪州最大の海水淡水化PPP事業に参画(2009/7)
三井物産:メキシコで世界最大規模の下水処理サービス事業に参画(2010/1/8)
丸紅:チリの水事業大手 アグアス・ヌエヴァを買収(2010/11/1)
住友商事:水インフラ関連事業について中国最大手企業と提携、中国国内で水処理サービス事業に参画(2010/9/17)

株式市場で水関連企業と言う時はクボタや栗田工業の名前がすぐ挙がるわけですが、海外で上下水道事業を行っているのは、このように総合商社です。これは海外の上下水道事業は「何かを販売するビジネス」というよりも、「資金を調達して投資を行うビジネス」という性格があるからです。

商社の現在の営業利益は、大きな割合を資源・エネルギー事業部門から得ています。資源・エネルギー事業は、巨額の資金を投じて上流の権益を獲得し、上流の強みを生かして中長期にわたって良好なリターンを得るという投資事業に他なりません。また、過去十数年にわたって、商社は中東、アジア、南北アメリカなどで独立系発電事業を営んできています。これもまた発電所建設の大きな資金を調達し、それを中長期の売電で回収していく投資事業です。こうした投資事業のノウハウがあるため、参入時に大きな資金を必要とする海外の上下水道事業に取り組みやすいのです。

上下水道事業は、非常に高い利益率が見込めるというものではありませんが、それでも規模は依然として大きく、かつ10年〜30年にわたって安定的な収益が得られます。また、誰もが参入できるビジネスというわけでもありません。従って、商社が取り組む理由は十分にあります。

■商社以外の企業が海外の上下水道事業に取り組むには

世界的に見れば100兆円規模の水ビジネス関連市場が広がっているなかで、政府も水ビジネスの海外展開を産業政策の柱に据えて、パッケージ型インフラ輸出政策などによる支援を強化しています。例えば、日本企業が上下水道事業を海外で展開する際には、現地に設立する上下水道事業運営会社に対する融資ないし出資を政府系金融機関である国際協力銀行が行ったり、JICAの資金的手当を受けたりすることができるようになっています。

とは言うものの、モノを作って売るのが本業であるところの日本のメーカーが、投資事業としての性格が強い海外の上下水道事業に踏み込むには、少し距離があるかと思います。一足飛びに、海外で特別目的会社を設立して、そこで上下水道運営事業を行うというわけには行かないのではないでしょうか。

現実的には段階的なアプローチが必要になると思います。これは、商社がこれまでに発電や上下水道の運営事業(投資事業)のノウハウを獲得してきた経緯が参考になります。簡単にまとめれば次のようになります。

1. 最初は海外における発電や上下水道事業に関連する機器納入を手がける。
2. その国の事業関連のネットワークやエコシステムのあり方が理解できてくる。
3. ネットワークないしエコシステムを通じて、プラント建設の話が舞い込む。日本のプラント建設会社と共同で受注獲得にあたる。
4. いわゆるEPC(Engineering, Procurement, Construction)契約を獲得し、完工にこぎつける。同種の案件で実績を積む。
5. その国における事業関連のネットワークないしエコシステムにおいて、存在感が高まる。政府との良好なチャネルもできあがる。
6. 中長期にわたる電力の運営事業、上下水道の運営事業に関する案件を比較的早い段階で知ることができる。
7. 受注に向けて準備を行い、競争入札に勝つ。

これがほぼ王道と呼べるパターンです。じっくりと取り組むと10年程度はかかるプロセスとなります。
個人的には、海外で水ビジネスに取り組もうという商社以外の企業も、このプロセスを踏むのが順当だと考えています。インフラ市場の規模の大きさ、新興国で今後伸びてくる需要の大きさを考えると、今から取り組んでも、市場が熟してくる時期にちょうど間に合うのではないかと思われます。

この10年程度はかかるプロセスをなるべく短縮化して、早期に上下水道運営事業に取り組みたい場合にはどうすればいいでしょうか?

答えは無論、M&Aです。ないしは、それに近い部分出資ということになります。

残りの部分は次回に記します。

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開催日時:2011年4月25日(月)午前10時〜午後0時
会場:SSK セミナールーム(東京都港区西新橋2−6−2 友泉西新橋ビル4F)
内容構成はこちらにある通り。

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コメント

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