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関東の計画停電を救う発電用ガスタービン

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今朝の日経新聞では、東京電力が発電量の不足を早期に補うために、天然ガスによるガスタービン発電を10基前後、260万kW(キロワット)分を新設すると報じられていました。このガスタービンについて、いくつか補足情報を書きます。

ガスタービンは三菱重工が得意としています。同社の原動機事業本部は、同社の売上の約1/3を占めますが、営業利益については同社全体の8割を稼ぐ、非常に利益率のよい部門です。この原動機事業本部の稼ぎ頭だと思われるのが発電用ガスタービン。すなわち、今回、東京電力が新設を急ぐ天然ガスによる発電機です。

そもそもガスタービンとは、航空機や船舶などに用いられているエンジンで、航空機のジェットエンジンもガスタービンの一種だそうです。歴史的にはこうした輸送用途で用いられていたものが、発電用に転用されて、発電用ガスタービンというジャンルの製品が存在しています。

発電用ガスタービンは発電効率がよい、別な言い方をすれば、投入する単位当たりエネルギーから得られる電力量が大きいという特徴があります。コンバインドサイクル発電と言って、ガスタービンで発電を行う際に得られる排気が持つ熱を再利用し、それで蒸気を発生させて蒸気タービンを回し、そこからも発電を行います。こちらにその模式図があり、わかりやすいです。いわば一粒で二度おいしい発電方式であるため、発電効率が高いのです。

三菱重工は2009年に世界最大規模、最高効率の発電用ガスタービンを開発したことが報じられています。これによって得られる発電容量は460MW(メガワット)。標準的な原子力発電所は1基で1,000MW(100万kW)と考えればよいですから、およそ原発1基の半分の発電容量を持つという、非常に大規模な発電用ガスタービンだと言うことができます。なお、発電用ガスタービンやコンバインドサイクル発電は、1つの装置というよりは、多数の部材からなるプラントとして実現します。

計画から稼働まで10年以上かかることも珍しくない原子力発電に比べて、発電用ガスタービンは建設期間が短いそうです。今朝の日経では4ヶ月から1年で稼働が可能だと書いていました。

天然ガス…日本では陸路のパイプラインで輸入することができないので、液化天然ガス(LNG)ということになりますが、天然ガスによる発電は発電コストが石油よりは安く、経産省の資料によると、原子力と比較してもさほど見劣りしません。こちらをご覧ください

また、石炭と比べると、排出する二酸化炭素の量は半分程度であり、低炭素化を推進する意味でも、天然ガスは有力な選択肢です。例えば米国ではエネルギー源別発電で見れば石炭が半分近くを占めますが、これを天然ガスにすべて置き換えることができれば、米国に期待されている二酸化炭素排出削減のかなりの割合が達成されると言われています。天然ガスについては、弊ブログのこちらの投稿も参照(調べてみました:シェールガスが注目される理由←シェールガスも天然ガスの一種です)。

発電用ガスタービンでもっとも大きな市場シェアを持つのはGEです。4割以上を取っています。同社はジェット機用エンジンを手がけていますから、その延長で発電用タービンも作るのでしょうね。世界では100億ドル〜150億ドル規模の市場があります。

東京電力は夏頃までに総発電容量を現在の3,850kW(福島第1原発や他の火力が失われたことによる)から5,000万kWに引き上げる考えだと報じられています。発電用ガスタービンによって増強される予定の260万kWはその内数なのか、アドオンなのか不明ですが、建設期間が短くて済むのはありがたいことです。

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