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どう変化する今後の原発計画? - トルコ

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トルコは新興国の中でも上位グループに属し、GDPでは17位(2009年)、インドネシアやスイスよりは大きく、韓国、オランダよりは小さいという位置にあります。ロシアのちょうど半分ぐらいの規模です。先進国に準じる位置にあると言っていいでしょう。1人当たりGDPは1万3,905ドル(2009年)と、メキシコ、チリよりやや劣る水準で、この点から言っても後進国的なイメージをあてはめることは間違いであることがわかります。

経済が発展すると国民が家電製品を積極的に使うようになり、産業分野の電力需要も増えます。トルコでは今後10年で電力需要が2倍になると予想されており、これに応えるために政府は苦心しています。同国は原油・ガスを含むエネルギー供給を隣国ロシアに依存しており、輸入エネルギーの7割はロシアから来ます。エネルギー面でロシアへの依存度を下げるには、国内でまかなうことのできる電源を増やさざるを得ず、それが原子力発電ということになります。
今後20基の原子炉新設が予定されており、2030年までに電力の2割をそれらから得る予定です。他国への売電も想定されています。欧州では国をまたいだ送電網が整備されており、電力の輸出入が活発に行われているので、トルコの発電量が増えれば売電も可能になります。

原発計画を進める上でトルコの課題は、同国が地震国であるということです。国内にはEast Anatolian FaultとNorth Anatolian Faultという2つの大きな断層があり、地震源となっています。そのため、今回の東北関東大震災と福島第一原子力発電所のニュースはトルコで大きな衝撃をもって受け止められているようで、原発に関する議論がわき起こっています。

■トルコの原子力発電所建設計画の進展

トルコにおける原発計画の進展を簡単に確認しておきます。

・トルコの第一原発計画Akkuyu(地中海沿岸)については、2010年3月にロシア(RosatomとAtomstroyexport ZAO)の受注が決定。発電容量は4基で4,800MW。投資額200億米ドル。(なお、ロシアへの依存が解消されないとして、国内では異論もあったが、ロシア政府による資金面の支援があったことから受注が決定。)
・第二原発計画Sinop(黒海沿岸)については、韓国が攻勢をかけ、2010年6月中旬に覚書交換にこぎつけたが、2010年11月中旬に日本が有利な状況であることが明らかに。Sinopの発電容量は4基で5,600MW。投資総額100億米ドル。
・2010年12月25日にトルコのユルドゥズ・エネルギー天然資源相が2007年の中越沖地震からの復旧を進めている東京電力柏崎刈羽原発を視察。
・2011年2月初旬、東芝がトルコ第二原発の受注に自信を深めていることをFinancial Timesが報道(Toshiba upbeat on Turkey nuclear deal)。

現在流れているトルコ原発関連の報道でも、第二計画Sinopについては、東芝、東京電力、伊藤忠と連携して進めると書かれています。日本政府のインフラ輸出政策の後押し(国際協力銀行による資金面の支援、日本貿易保険による保険面の支援)もあって、これら3社による受注がほぼ確定したと見てよいでしょう。

■東北関東大震災後も姿勢に変化なし

地震後に出てきたトルコの原発計画関連の記事には以下があります。

Reuters: Turkish Energy Min-determined to build nuclear plants(3月14日)
UPDATE 1-Turkey to go ahead on nuclear despite Japan(3月14日)
Wall Street Journal: Turkey Debates Nuclear Plans(3月14日)
Bloomberg: Turkey to Ask Russia to Raise Nuclear Plant Safety Standards(3月15日)
Financial Times: [update] Turkey: tough nuclear choices(3月15日)
Reuters: UPDATE 1-Turkey's nuclear plans unchanged by Japan crisis-PM(3月15日)
Today's Zaman(Turkey): Main opposition not opposed to nuclear energy program(3月18日)

ざっと目を通すと、以下が書かれています。

・ユルドゥズ・エネルギー天然資源相は、トルコが現在計画している原発はロシアのものも含めて最新型のものであり、福島第一原発のように40年を経過した旧型のものではなく、安全だと主張。
・トルコの電気技術者の団体が、日本の原発事故に鑑みて原発計画を断念するように勧告。
・2つの原発計画を地震学者として審査したMustafa Erdik氏が「どちらも地震のリスクについては安全」と発言。
・ユルドゥズ・エネルギー天然資源相はロシアに対して、必要があるなら、Akkuyuの原子力発電所が想定する地震をマグニチュード8からさらに上げるように求めた。福島の原発は第1世代、トルコが新設するのは第3世代の原発であることを強調し、計画続行を明言。
・Tayyip Erdogan首相は、ロシアと進めている原発の計画に変更はなく、Sinopの計画についても日本との交渉が遅れることを望まないと明言。
・同国の有力な政党であるRepublican People’s Partyの党首も、原発計画の続行を支持。

このように、国としては原発計画をこれまで通り粛々と進める意向です。一方、トルコ国内世論としては、日本で大丈夫なのかという声も上がっているようで、これは致し方ないことだと思います。
日本としては今回の事故の特殊性を、トルコを初めとする国々に繰り返しアピールして、その国の世論が日本の商機をつぶすことがないようにしなければいけないと思います。

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