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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

スマートシティ新松島のネットワーク発想

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スマートシティの成功要因には、優遇税制などのテナント企業にとっての魅力、教育機関や文化施設などの居住者にとっての魅力など、いくつもの項目があると思いますが、その根底に「ネットワーク発想」があるかどうか、というのも大事な条件なのではないかと思えてきました。

韓国のスマートシティ新松島の周辺を調べていると、「ハブ」という言葉がたくさん出てきます。新松島が属する仁川自由貿易地域は、北東アジアの経済活動のハブとして説明されていますし、新松島から車で15分しかかからない仁川国際空港は、100万人以上の人口持つ60以上の都市に3.5時間以内で行けるハブ空港という性格があります。もちろんこれは、同自由貿易地域や同空港を発想した人たちが、様々なノード(国や都市)を線で結んで、その中心(ハブ)に仁川を置くという、ネットワーク発想をしていたために、セールストークにも出てくるのでしょう。

このネットワーク発想という目線で見ていくと、新松島と仁川国際空港のある永宗島を結ぶ仁川大橋の建設にしても、新松島というノード、仁川国際空港というノード、この2つのノードを新たにリンクで結ぶことによって非常に大きなメリットが得られる、ならば橋を作ってしまおう、というネットワーク発想がベースにあるように思えます。

世界経済が、ますます活発化する海運や空運によってネットワークとしての動きを見せるようになり、人もそうしたネットワークの上を動いてコラボレーションするようになり、一国の経済活動もFTAやTPPのような国同士をネットワーキングする活動によって、ネットワークから離れたスタンドアロンの国としては成立しにくくなっています。ネットワーク発想が求められているわけです。

そういうなかで、スマートシティが世界の意欲的な企業を集め、優れた人材を集めていくためには、ネットワーク発想の中でロケーションを設定し、ネットワーク発想のなかで機能やサービスを思い描いていくことが必要なのではないかという気がしています。張り巡らされたネットワークによって人が動きやすい。情報が集まり、人も集まる場がある。企業活動の要諦である物流についても、ネットワーク的な配慮がある。お金も集まり、投資されていく…。そういった色々なものが必要に応じて瞬時に動けるネットワークの上にスマートシティが位置している。それが大事ではないかと。

これから見ていく中国のスマートシティや欧州のスマートシティはどうか。スマートシティを国家として推進しているシンガポールはどうか。アブダビのMasdar Cityはネットワーク発想という視点で見れば強いのか弱いのか。また、日本で現在実証実験が進められている4つのスマートコミュニティ構想はどうか。
これから少しずつ吟味していきたいと思います。

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