青森県を売って売って売りまくれ~
先週、日経ビジネスオンラインのこの記事を読んで胸が高鳴りました。青森県弘前市出身の今泉であります。
青森県を売って売って売りまくる──。
トップセールスで地方再生目指す、三村申吾知事に聞く
この知事おもしろいですね。最高です。東国原知事に勝るとも劣らない。
東大→新潮社→家業→町長→衆議院議員→県知事という経歴がすごくユニークです。企画精神旺盛なのは新潮社仕込みということなのでしょうか。
この記事では、長らく経済が低迷する青森県にあって、三村知事が「売れるもの」を掘り起こし、トップセールスで海外の顧客を口説き落として、前年比2ケタ増の売上や出荷を実現している経緯がまとめられています。
経済人として見て秀逸だなぁと思わせるポイントがいくつもあります。
・青森空港を羽田空港にぶらさがる日本の地方空港という位置づけでは見ずに、韓国の仁川空港をハブとする東アジアに開かれた空港であるという位置づけで定義し直している。それにより、韓国から来訪する観光客を増やしつつ、青森県から仁川空港を経由して海外に出かける観光客も増やしている。日本の国外へ出るのに、鉄道や羽田空港経由で成田空港に向かうよりは、青森空港から直接海外へ出る方が合理的という見方。
・農産物の価値に着目している。農産物が持ちうるプレミアム価値をよく理解し、海外の顧客に対して、リンゴや長いもを希少財として売っている。日本の農業の将来を考える上で非常に刺激的な動き。
・青森県に残る景観にプレミアム価値を見つけて、その価値がわかる海外の顧客に売り込むことに成功している。
・商品の魅力について顧客自身に聞き、顧客が望む形にパッケージングしなおし、それを売って実際に結果を出している。例えば、「韓国の人は山歩きが好きだから」というアドバイスを元に白神山地や八甲田山のツアーにトレッキングを組み入れて好評を得ている
・青森県プロモーションキャラクターの決め手くんと一緒に踊る三村知事の表情のたのしそうなこと!売る人はこうでなくてはいけませんね。(決め手くんの左隣で踊っている女性職員の方も見事です)
このインタビュー記事、なんというかしあわせ感に包まれているのがいいです。最近のキーワードである「多幸感」を思い出してしまいました。(今泉注:「多幸感」はPerfumeを説明する文脈でよく用いられる)
-Quote-
三村 青森県産のリンゴが中国で高値で売れたという話があったでしょ。それもうちの連中が仕掛けているわけよ。最近、やたらと青森フェアがあるのも総合販売戦略課の仕掛け。リンゴはもちろん、米やホタテ、ナマコ、ナガイモなどの農海産物に加えて、スキーやゴルフのような観光など、青森県の物なら何でも売る。
ナガイモはすごいの。中国や台湾で精力剤として高く評価されている。要は、県内の所得を稼ぐために外貨を稼いでいる。外貨というのは海外だけでなく県外もそう。売って売って売りまくる──。それが総合販売戦略課です。
──中国以外では、どういう国に営業をかけているんですか。
三村 最近はドバイ。青森県のリンゴがどれだけ評価されているか。あなた、聞きなさい。「ココ・シャネルか青森のリンゴか」と言われているほどよ。
──確かに、ドバイでの小売価格は、1キログラム当たり48デュラハム(約1400円、1デュラハム=28円)の価格がついたようですね(3月上旬時点の価格)。
-Unquote-
言葉の端々から三村知事が楽しんで商売を行っているさまがびしばしと伝わってきます。
こうした三村知事の姿勢を見ていて、これって”割安に放置されている”日本の様々なモノやサービスや土地や企業の売り方の原型ではないかということを思いました。
何をもって原型と言っているかと言うと、
1. 中央を経由しない。首都圏に集中しているもろもろの機能に頼らない。
2. 海外の顧客と直接話をする。
3. 価値は海外の顧客に引き出してもらう。(内国の視点ではなかなかわからない価値がある)
4. その商売を楽しむ。
といったあたり。