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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

米国TV広告の資金がデジタルサイネージに流れる

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デジタルサイネージについて調べていて、おもしろい資料を見つけました。
米国の広告主(消費財メーカー)がTVCMの広告費を減らして、デジタルサイネージの方に資金を移していくということが書いてあります。
RSRという流通小売専門のリサーチ会社による"Retail Media Networks: The Business Case"。スポンサー付きのレポートなので少し注意して読まなければなりませんが、デジタルサイネージが広告関係の人から注目されているということはわかります。

最初の方に記されているさわりを記すと…。

・Forrester Networkが2006年7月に行った調査によると、69%の広告主はテレビ広告の効果が弱まっていると考えており、60%はテレビに代わる広告メディアを探している。
・消費財メーカーは伝統的メディアから他のメディアに広告予算をシフトしつつある。これからの10年でメディア別の広告比率に大きな変化があるだろう。
・Forrester Network調査によると、72%の広告主が店内メディア(今泉注:結局はデジタルサイネージ)を伝統的な広告の代替物であると考えている。50%は効果が非常に優れていると評価、54%はTV広告費を削って店内メディアの予算に振り向けたいとしている。
これにはいわゆる想起率(recall rate)の問題が絡んでいます。自宅でTVCMを見ても、しばらく経つと商品名やブランド名などは忘れていて、まったく関係のない部分だけ覚えている、あるいは忘れている、そして店頭にやってきて買う段になると、CMがまったく効果を表さない…。「想起」とはそのような状況において、きちんと商品名、ブランド名を思い出すことができることを指しています。

米国では想起率が25%だそうですが、それが年々低下しているとのこと。そのためTVCMではなく、流通小売店舗内のメディア(つまりは店内のテレビ=デジタルサイネージ)に目が向くのだそうです。
店内メディアでは、その場で見てすぐ買うわけなので想起率が100%に近い。広告のロスが少ないわけです。(こういう単純な発想が米国人らしい。。。)

ということでデジタルサイネージの周辺にTV広告のお金が流れる可能性がある、というお話でした。

その先の可能性を付記しておきたいと思います。

結局ひとは、自分にとって身近なメディアから情報をとる。(米国における)2~5年先のモバイルメディアメディアは、店内のデジタルサイネージよりも、消費者にとって身近なメディアであることは確か。そこには動画も流せるし中身のパーソナライゼーションも可能。
ということで見ていくと、デジタルサイネージの世界が、全部とは言わないまでも、一部はモバイルメディアの方に降りてくる可能性はあります。
 → デジタルサイネージのモバイル化

また、逆に、数年先のデジタルサイネージが、個人が携帯する何かかか情報を読み取って、パーソナライゼーションされた広告メッセージを送り届けるというパターンもあります(映画「マイノリティレポート」)。
 → モバイルメディアのデジタルサイネージへの拡張

TV広告という非常に大きな資金のプールがある状況においてこの種の変化が起こるので、ほんとに効果があるのだとすれば、動きは速いでしょうね。

大画面ディスプレイはどんどん安くなるだろうし。あたり一面ディスプレイという状況になると、ピンポイントで広告をオンデマンドすればいいわけですもんね。

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