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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

日本の未来をつくる「空気」を戦術的に醸成する

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アラン・ケイが言った「未来を予言する最良の方法は、自らが未来を作り出すことである」という言葉は、イノベーションの本質をもっともよく表す名言です。これは製品レベルでも言えると同時に、経済全般や社会全般でも言えると思うのです。

未来は作ることができる。

この発想に立つと、現状がいかに大変なところにあろうが、作るべき未来をはっきりをイメージすることができ、やるべきアクションプログラムも順当に決まり、あとはやるだけ、という地点に立つことができます。

先日発表になったIBMによるイノベーション関連の提言でも、交通分野が1つ入っていましたが、例えば、モジュール型の全自動操縦小型低空飛行機であって、パケット通信の原理を応用し、東京大手町などの渋滞時にあっても粛々と移動できるヴィークルのようなもの。あるいは、分散型発電装置でエコロジーのメリットも相当にあり、地球規模の持続可能な文明生活に貢献する機器。

この二例は単にひとつの”モノ”を挙げただけですが、もっと社会的な広がりを持ち、有形無形の要素から成る”システム”として存在する何かを「未来」としてデザインし、そこに向かって日本の各業界が総力を挙げて邁進していくならば、いい形で今後10年20年が進展すると思います。

以前、日本総合研究所理事長の寺島実郎氏が日経の論壇欄で、「凄みのあるシンボリックな目標」を打ち出すことの効用を述べていらっしゃいました。日本社会全体が求心力を持つことができるようなシンボリックな目標です。高度成長期であれば、それが東京オリンピック、新幹線、大阪万博だったわけです。
凄みがある、ということがポイントです。

同じことは、先日も少し触れましたが、「ビジョナリー・カンパニー」にもBig Hairy Audacious Goals(社運を賭けた大胆な目標)という言葉で述べられています。米国の社会では、ケネディが言った「1960年代のうちに、月に人間を送る」という目標がそれだったわけです。

そうした目標であって、かつ、経済効果が見込めるもの。日本の複数の産業が関わることができるものが望ましいんでしょうね。
そんなところで考えていくと、数日前に新春夢想で述べた「広域東アジア市場において、2020年頃に、2008年の日本の準富裕層の消費生活水準を実現する」というのは、あながち捨てたものではありません(爆。

消費生活は、自動車、家電、住宅、衣類、食品、エネルギー、通信、娯楽、教育、医療など多種多様な要素から成るわけですから。

そのような未来を掲げる。そして投資を誘発する。そして、日本のものづくりの力を最大限に発揮して、その未来を実現していく。結果として非常に大きな市場が出現し、投資主体には大きなリターンが行く。

そうしたことができれば、別段、小泉首相のような指導力を発揮するわかりやすいリーダーがいなくとも、みんなが共通の方向感をもって、邁進していけると思います。

戦術論に立てば、そのような未来を「空気」として醸成してくことが必要になるのでしょうね。

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