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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

格差論議のおかど違い

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格差を認め流動性の高い社会に」(日経ビジネスオンライ)と題された宮内義彦の一問一答を、医療関連の部分は除いて(背景知識がなくわからないものだから)、ふむふむうなづきながら読んでいました。

ポイントは以下。

・サブプライム問題は長期化する可能性があるが、強い影響を受けるのは米国1国に留まり、グローバル経済全体はBRICsの発展によって今後も成長が続く。
・日本に目を向ければ、格差問題の解決法として分配の議論をするよりも前に、成長についてもっと考えるべき。
・日本の第三次産業の生産性は米国の5~6割に留まり、ここに着目して生産性を上げるなら日本全体の経済成長率が早期に高まる。
・小泉氏の退陣以後、規制緩和が議論されなくなったが、生産性向上には規制緩和は必須。(だからもっと議論して、どしどし進めなければならない)
・格差そのものが悪いのではなく、格差を固定する社会がいけない。格差を固定しないためには、流動性の高い社会を作ることが必要。
・日本の社会は流動性を高めようという動きとは全く反対に動いている。
・日本には山のようにビジネスチャンスがある。それらが開花すれば世界的な競争力を持てる。それができない状況を変えていくべき。

僭越ながら、非常に順当な論旨だと思いました。格差問題にかこつけて、成長を担う地域、セクター、個々の企業、投資家および起業家のインセンティブを殺ぐようなことがあってはなりません。個別具体的な政策を発想する前に、まず、次世代の日本の成長ということを念頭に置く必要があります。現在の格差論議に引きずられてはなりません。

この記事にはたくさんのコメントが付いています
が、ざっと読んでみると、はてブとはまったく違った雰囲気を醸し出しており、すごく興味深いです。
コメントを入れるのにアカウントが不要、ハンドル名も不要という仕組みですね。匿名のコメント集になってます。これによって、Web2.0系サイトでコメントを書いた経験がない方々も書けるという風になっているのでしょうね。

宮内氏の議論との関係で思ったのは、1つは、受益者の視点、”制度を変えてもらう側”の視点、国や自治体に何かをしてもらう側の視点がすごく多いなということです。

自分の用語で書きますが、システムに帰属する側にあって、システムが悪い悪いと言い立てても、実はあんまり意味がありません。システムとは自分の富を知らぬ間に収奪している経済の仕組みの総体です。

そのシステムは、特定することが可能な政治家や行政者や企業が成立させているものではない(従って攻撃すべき対象はどこにもいない)ということに早く気づいて、「ではどうすればよいか?」と考えるのが本筋です。

いまあるシステムに対抗しうるシステムを作ることを考えても現実的ではないので(そのシステムが巨大すぎるので)、①自分の価値観に合ったやり方で、②自分の価値観に合う人たちに対して、③意義のある経済行為を提供するミニシステムを作る、ぐらいから始めるのが順当だと思います。
ある場合には会社を作る。ある場合には自然食レストランを始める。ある場合には数年後の起業を狙って勉強を始める。ある場合には社内の有志で新規事業を企画して予算をもらう…といった形になるでしょうか。
いずれにしても、システムからなるべく自立できるような方策を探るのが得策です(”なるべく”がミソ。完璧に自立することはたぶん無理だから。システム内ミニシステムみたいなものをつくり、それをサンクチュアリにするみたいなところか)。

そのように、システムからなるべく自立できる立場を取ると、自然と、例えば格差問題の議論のなかでよく見られる論調から、距離を置くことができるようになります。その論調とは、なるべく他者が成長しないようにする方策を是とするもの。

そのような立場で上のコメント欄を読むと、多くのコメントに対して「そうではないんだがなぁ」という素朴な印象を持つと思います。議論をふっかけたくなるのではなく、「違うんだよなぁ」という素朴な思いです。

起業する者として世界を見ると、何もかも違った風に見えるということはあると思います。世の中、オポチュニティだらけです。
別な言い方をすれば、商売人として世の中を見ると、いつでも利益を上げられる余地は見つかる、ということです。
特に、現在では、ITとリアルのはざまの部分で、膨大な起業の余地が生まれています。エクスペリエンスを追求するもよし、レトロフューチャーを追及するもよし。

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