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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

投資先としての「日本」の価値を高めるために

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11月23日付日経新聞に「日本株独歩安の構図(上)」という記事が出ました。投資主体としての外国人の関心が日本を通り過ぎて、他国に向かっている状況を述べています。今頃これで騒いでも…というのが実感です。

海外に本社を置くグローバル企業の仕事をさせてもらっていると、海外本社が日本市場をどう見ているのか手に取るようにわかります。どの企業に限らず恒常的な成長を遂げることが至上命題であるわけで、貴重な経営資源を国際的にどのように分散配置するかは、経営の最優先課題です。この視点は、いわゆる外国人株主がグローバル投資の文脈において持っている視点とまったく変わりません。
ロシアで東欧でトルコで。あるいは中国とインドで。中間層が拡大し、消費文化が過去の欧米や日本のそれに近いものになるに連れて、非常に速いペースで国レベルの経済が拡大しています。年率2桁という上昇率を苦もなく達成している国・地域がいまや世界に複数あるのです。(これは必ずしもGDPの成長率に限らず、特定の業種の特定の市場の成長率を念頭に置いて言っています)

-Quote-
いやま日本に残るのは高齢化・低成長のマイナスイメージだけ。日本株に三十年投資し、二百億円弱の日本株ファンドを運用する米ヘッジファンド、ポーター・オーリンのアレックス・ポーター氏でさえ「見渡せば胸の高鳴る投資先が日本の外にたくさんある」という。東京に調査担当者を置くくらいなら中国やインドで有望企業を探す方がよっぽど効率的というのがポーター氏の意見だ。
(上の日経記事)
-Unquote-

グローバル企業の経営者は株式市場から常に成長を要求されているわけで、その立場で日本市場を見るとどう見えるか。別な投資の選択肢があるとすればどちらに投資するのが合理的か。その視点でものを考えないと、いわゆるジャパンパッシングの本来的な解決策は出てきません。

高齢化・低成長率のイメージが外国人投資主体に浸透したのは、いわゆる失われた15年の間だったと思いますが、その後、小泉首相の改革路線でイメージが一新されたかに見えて、安倍さんの退任、福田さんの路線のあいまいさが続くなか、「あぁやっぱりか」ということになっているように思えます。現在の売りはそれでしょう。
また、昨年から今年にかけて、司法の場で、そして株主総会で、外国人系のファンドをことごとく追い払ったことも日本市場への失望売りに拍車をかけていると思います。
日本はグローバル標準である株主価値至上主義の路線を捨てたのだという明確な自覚をもって、株主価値に代わる新しい企業の価値を作っていかなければならないのではないか。それを長い期間をかけて外国人投資主体にアピールしていかなければならないのではないか。そう思います。例えば、トヨタの人づくり。松下幸之助の理念など、株主価値至上主義を補うことのできる経営哲学や理念は日本企業にたくさんあるはずです。

どの業種に限らず、欧米に本社のある企業の日本法人のなかでは、日本市場への関与度合が低くならないように、日本市場が持つ種々の可能性をアピールしていることと思います。私も例えば、日本のデジタル機器と消費者の利用スタイルが共進化を遂げている様などをトピックにしたりしていますが、テーマ設定によっては非常におもしろい現象が多々あることは確かです。
そのなかでも、海外の投資主体に受ける可能性があるのは、日本の消費者=日本の企業人のイノベーターぶりですね。価値の高い色んな知見が引き出せると思います。そうしたことを通じて、国外の投資主体の興味をつなぎとめると同時に、「日本の消費者=日本の企業人のイノベーターぶり」が直接的に企業価値につながるような事業が出てくることを望みますね。

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追記。投稿日時がヘンになっていますね。失礼。。。土曜日の昼前に書いています。

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