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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

CGMが消費者に与える影響はあまり大きくない

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仕事の必要があってインターネットメディア総合研究所による「インターネット利用動向調査報告書<個人編>2007」を購入し、ざっと目を通しています。この報告書はインプレス「インターネット白書」のお兄さんのような位置づけにあるものですが、同白書の2倍以上のサンプルに対して、非常に詳細な設問を投げて集計しています。1,000ページ近い大著です。

買ってよかったと思えるのは(部の経費で購入してますが)、Googleなどを使ってアクセスできる多種多様なインターネット利用動向のリサーチ結果だけでは、いくつか集めてみても「点と点」といった形でしかトレンドを説明できないのに対して、こちらの白書の調査結果を使うと「面として」説明できるようになるということです。
例えば、購買行動という章だけでも68ページあり、70~80点の図表が掲げられています。
ここに目次がありますが、個々の章においてこうした充実ぶりです。
これだけデータが手元にあると、ある領域に関するある仮説を隙なく説明できるようになります。ありがたいです。
書籍版で10万近いですが、一般的な個別業界の調査報告書が20万~30万であることを考えると非常にお安いです。プリントができないPDF版なら5万ちょいで購入できます。

昨年来言われている「CGMが消費者の購入に影響を与える」という点についても、この調査によると、それはあまりそうでもないという現実があることがわかります。個人的には少し意外でした。

「買い物のために利用している情報源(複数回答)」という調査では、多い方から8つを掲げると、

企業のウェブサイト 61.8%
商品・サービス提供者からのメールマガジン 59.6%
各専門分野の商品・サービスを紹介する紹介サイト(商業的なもの) 36.7%
ポータルサイト 33.5%
新聞社のニュースサイト 31.5%
ユーザー参加型の商品・サービスのレビューサイト、評価サイト 30.7%
ブログ 30.2%
掲示板 26.4%

となっています。
この下にCGM系のメディアがいくつか続きます。アフィリエイトはもっとも下の5.3%。

大多数の人は、企業のウェブサイトや売り手側が発信する情報を主たる情報源にしているんですね。
私としては、特に個人のブログは、それがロングテール系の分野を扱ったものであり、筆者が自腹で購入して率直な評価を書いているものについては、かなり大きな影響力があるのではないかと考えてきました。
まぁそういう事実は若干はあるにせよ、インターネット利用者全体で見れば、まだまだ少数派ということになるのかも知れません。この調査1つで結論を出すのは早計ですが、「へー」という印象を持ちました。

これは、そうした消費者レビューを書く人たちとそれを読む人たちが、まだまだアーリーアダプター領域に属していて、これから拡大してくるということなのか、それとも本来的に少数派であってこれから増える可能性はあまりないということなのか、どっちなんでしょうかね?

それから商売という意味では、企業のウェブサイトへの導線の設計や企業サイトそのものの制作の部分で、これからまだまだ大きな盛り上がりが見込めますね。いずれにしても、商業史的にはまだ始まったばかりです。

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