Napsterで見つけたロックの名曲:Sting - The Lazarus Heart
忘れないうちに書いておかなければ。Stingと言えば、アルバム「Nothing Like the Sun」についてまともな評論を書きたいと思って、かなり悶々としていた時期がありました。ロッキング・オンに投稿しようとか思っていましたが、果たさず。題材はStingに見られるユングの影響です。
いまはみっちりした評論を書く時代でもないと思うので、キモ中のキモをさらっと書いておくと、Stingは一時期相当にユングに入れ込んだ。色んな作品でユングの影響が指摘できる。それ以上でも以下でもない。と、そういうことです。
当時書けたのはそこまででしょう。
人がユングにかぶれようがかぶれまいが、それは個人史上のひとコマであって、だからどうこう騒ぐ問題でもない。最近はそう思うようになっています。ただ、力ある表現者のそうした営みを探求する過程は楽しいし、途上で見つかる種々の発見や知見が読者にとっても価値があるということはあるでしょう。それを書き連ねたものは、書き手が優れている場合、最上の意味で言う知的な娯楽としての意味を持つと思います。けれども、だからどうこう騒ぐ問題でもない。騒ぐべき問題はたぶんもっと別なところにある。そうしたことは、80年代末の自分にはわかりませんでした。
Nothing Like the Sunの頃のStingは、相当にユングに入れ込んでいた。それは確かだと思います。当時はそれぐらいは書けた。
現在なら、「それは過ぎ去って、彼においても過去のことになってしまっている」というエピローグが付けられるかも知れません。
ユンギアンの人が怒るかも知れませんが、ユングも過ぎ去ることがあるのです。
The Lazarus Heartは、やや難解に思える内容ですが、端的に言うと、刃によって肉がぱっくりと割れて血がどくどくと出るような大きな傷から、新しい生の力がみなぎってくるということで、刃で受ける傷のあたりが騎士道系、傷から生がみなぎるというのがキリストの再生、それら騎士道系と聖書系の混交のように思えます。
それを解明したからどうだと騒ぐ話ではありません。この頃のStingはそうしたものをよりどころとして表現活動を行っていたということです。求道者だったわけです。