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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

ユニークなら「ガラパゴス的進化」も是

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先日、日本の製造業の振興に関係のある方と話をしていた際に、「ガラパゴス的進化」という表現が飛び出しました。ガラパゴス…。周囲の環境とは隔絶されたなかで特異な進化を遂げている状況なんだろうな、ぐらいには思いましたが、その方が属している世界では、日本の現在の憂慮すべき状況を明確に表す言葉としてよく使われているようです。

先日、池田信夫氏のブログを読んでいたら、「パラダイス鎖国」という投稿のコメント欄にこの言葉の出典と思われる書き込みを見つけました。

-Quote-
パラダイス鎖国ですが、携帯電話の種の多様化がガラパゴス諸島のようなので、自分はガラパゴス化と読んでおります。
-Unquote-

1年のうちに2回も3回も携帯電話の新型機種が出る。その都度、ものすごく機能が充実し、デザインがよくなり、中のコンテンツも洗練されて、コンシューマ的にはすごくうれしい。けれどもそれを送り出す側は、かなり大変な状況にある…。コメント子は、こうした状況を「ガラパゴス化」という言葉で括ってみせたわけです。

携帯を初めとする民生用電子機器は、日本にいるわれわれの目から見ても百花繚乱の状態にあります。電子機器に関心のある欧米のビジネスパースンから見ても、かなり"クール"に見えているようです。
しかし、消費者文化的には悦ばしいその状況も、メーカー側にはあまり利益をもたらしていないという事実は非常に残念であります。周知のように日本のハイテク電子機器を扱う家電メーカーの利益率は、サムスンなどと比較すると著しく見劣りします。利益率や経営の効率性に関係した数字を取ってみると、シャープを例外として日本の家電メーカーはほぼ似たような水準にあり、何らかの構造的な問題があることが窺われます。

おそらくは、携帯電話の販売奨励金、最大手家電量販店が持つ絶大なる価格決定権、この2つが関係しているのではないかとにらんでいますが、これは単なる推測ですのでよろしくお願いします。

「ガラパゴス化」という言葉には、百花繚乱ではあるけれども”利益率が低い”というニュアンスはあまりないと思います。むしろ、百花繚乱ではあるけれども”世界的にはシェアが取れない”というニュアンスが込められていると思います。日本の携帯電話メーカーが海外でまったくシェアが取れないという事実も、経済紙などでよく取り上げらるようになりました。

ここが本日のポイントです。日本の電子機器は非常に進んでいる。コンシューマと相まって共進化と呼んでもいいような状況にある。けれども世界市場に対してはあまり支配力を持たない。その「ガラパゴス的進化」の状況を放置しておいていいものか?

自分の意見を言わせてもらうなら、利益率の低さは、これは是が非でも改善していかなければならないとして、百花繚乱だけれども世界的にシェアが取れないという状況は、これが「日本のカルチャーなのだ」と開き直ってしまうぐらいの方がいいのではないかかと。

本ブログで何度か取り上げてきたフラット化は、企業の競走状況にも見られるようになってきたわけですが、すべての国のすべての企業がフラット化に飲み込まれていくようにも見える現在、独自の洗練度合いを持つ日本のコンシューマに向き合って、非常に特異な製品を発展させてきている姿は、むしろ「世界的に強い」のではないかと。シェアが取れないことこそが、独自の価値があることの証なのではないかと。世界の大手企業の製品がどこかしら詰まらないように思えるなかで、日本のケータイはやっぱりすげーじゃん、いーじゃん、それでどこが悪いの?的な開き直り。これはこれで、ありではないかと思い始めています。

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