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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

内部統制のオフィシャルなマニュアルを刊行すべき

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自分は内部統制の素人ですが、同じ部門には米国大手企業の日本支社で米国SOX対応の一部始終をCIOとして経験したというコンサルタントの方がいます。昨年半ば、彼から話を聞いて思ったのは、とにかくやたらと人手の手間隙がかかるプロジェクトであるのだなということでした。

今週の週刊ダイヤモンドで「内部統制地獄」という特集を掲載しています。これはタイトルこそどぎついですが、内部統制対応プロジェクトがだいたいどんな感じのものになるかを、かなりリアルに伝えてくれているという点で、すごく評価できます。まだ準備が進んでいない、経営トップの理解が得られていない日本企業は、いまのうちに、この実態を知っておくべきだと思います。
秒読み段階になって対応しようにもできないという状況になる前に、相応に準備期間の余裕があるいま、こうした特集で実態を知ることにはすごく意味があります。
時間もかかる。人手も必要。そして経営トップの理解がないといけないし、さらには経営トップ直属のプロジェクトチームが動かさないと、社内のあちこちで悲鳴があがる。それがSOX対応の実際のようです。そのへんをこの特集ではよく伝えてくれています。タイムリーでナイスです。

思うのですが、以前であれば、このような大がかりな法制度改正の前には、その法を所管する官庁の外郭団体が、非常に丁寧なマニュアルを作って刊行し、セミナーを開催し、そのセミナーには法制度改正に携わった当の行政官の方が直々に出て、遵守のポイント、準備の仕方などを解説するということをやっていました。企業としては、そうした官庁のお墨付きのマニュアルを熟読し、セミナーで補足的な点も理解して、万全の準備をして施行日に備えるということができたように思います。
そうした美風が、いまでは失われてしまったのでしょうか?

内部統制の中身を作っている方の書籍にも目を通しましたが、原理原則は示す。あとは自分で考えよという基本姿勢があります。これはこれで、あるべき姿だし、それができるのが企業本来の姿だと思うのですが、こと内部統制に至っては、企業側のやるべき事項が多すぎます。また、対応コストも2桁億円は当たり前と言われているなかで、規範となる対処方法が明示されないと、代表取締役の理解を取り付けるのだけでも大変な思いをする(内部統制担当者の方が)というパターンがかなり出そうです。

何でもマニュアルがなければ動かないという社会も問題と言えば問題なのですが、こと、この内部統制に関しては、対応期限とそれにかかる経営資源の膨大さを考慮して、微に入り細に渡ったマニュアル、実務担当者がそれだけを参考に進めればスムーズに実施できる規範、その他関連のノウハウなどを、できるだけ官に近い団体などから出すべきではないかと思います。

その種のマニュアルなどがないと、ある時期以降から、専門家やコンサルタントが払底してしまって、何をどう進めたらよいのかわからないという実務担当者の方が膨大に出ると思います。それを防ぐために何をしたらよいのか、行政の方々はぜひとも真剣に考えていただきたいと思いますです。

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