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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

時を告げつつ時計を作る

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「ビジョナリー・カンパニー」のなかに「時計を作る」という表現が出てきます。いま手元に本がないので正確な記述が確かめられませんが。「時を告げる」という表現と対で使われています。

「時計を作る」を個人的な解釈で説明すると、時代を超えて生きていく価値生成のメカニズムを個別具体的な会社のなかに実装するというということ、を指します。
一方の「時を告げる」とは、時代と同期して生きるという意味です。状況に適応するとも言い換えられるし、その時期その時期のトレンドのビジネスモデルで営業するとも言い換えられます。これは、どちらがよいという問題ではありません。企業活動には2つのタイプがあるということです。

つい最近までの自分は、「時を告げる」という行為を実感したことは何度もありましたが、「時計を作っている」なと実感したことはありませんでした。ライティングの仕事は、ほぼすべてが「時を告げる」系です。けれどもまぁ、最近、色々と新規事業の業務プロセスを細かく考えて、切ったり貼ったりして整合性をとる作業を続けていた時に、あぁ時計を作ってるかもなと思うことがありました。

それはさておき。ネットワークの上で、社会ネットワーク分析として把握可能な行動を行っている時(それは個人であっても法人であっても)、それは多くの場合「時を告げる」行為であって、「時計を作る」側には回っていないのではないか?と思い始めています。

「時計を作る」ためには、いったんネットワークからログオフして、オフラインでしこしこやる必要がある。それもある程度まとまった時間。その間は「時を告げる」行為ができにくいのではなないか。例えば、醸成中のプランが外部に出せないということや、開発中のサービスがまだ形にならないうちは外に出せないということなど、わかりやすい例はいっぱいあると思います。

企業活動や個人の知的な活動などが社会ネットワークとして組成する現代にあっては、「時を告げる」側に回っていないと、時代と同期しているという感覚が得られないし、時を告げてばかりいると、「時計を作る」側に回りにくくなるという、このジレンマ。これをうまく正+反→合する手法ないし態度ないし考え方はあるのでしょうか?

また、戦略論的なはなしとして、圧倒的大多数が時を告げる側に回っている状況においては、非常に小さな努力で時計を作る側に回ることができ、そこには広大なブルーオーシャンが広がっているということもあるのではないか。等々。このへんも興味がつきません。

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