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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

メモ:「イノベーション促進のためのネットワーク最適化の考察」

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shibaさんOutlogicのなかで紹介していた吉村真弥氏の「イノベーション促進のためのネットワーク最適化の考察」という文章を読んで、少しメモ。

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このようなネットワークの成長規則を踏まえると,優位性確立に結び付く有利な位置をとる方策としては以下のようなものが考えられる.

・価値を高めて中心的なハブとなる(例業界NO 1)
・自らがクラスタ化を促進する存在となる(例検索エンジン)
・ネットワークにおけるギャップを解消する存在になる(例ネットオークションにおけるエスクローサービス)
・フローの中で始点となる(例投資家,コンサルティング)
・フローの中で終点となる(例コンビニエンスストア,ネット物販)
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バラバシが「新ネットワーク思考」のなかで提示したスケールフリーネットワークは、成長と優先的選択が原理となっています。すなわち、やや安易ですが、何かをスケールフリーネットワークとして発展させたいと考えるなら、成長と優先的選択が働く環境を用意すればよいと言えます。それの具体的な姿が上の箇条書きということに。特に3番目~5番目が自分にとっては非常に新しい知見で、刺激的です。

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社内に圧倒的に優秀な人材が一人いたとしよう.本来ならその人材が全てを行うのが最適である.しかし人間である以上,フル稼働しても,ある一定の仕事量しかこなすことができないため,最適ではなくとも他の人間に仕事をしてもらう必要がある.このときは釣鐘状の正規分布と似た形となる.しかし仕事に対して本人の性能が高く,仕事を無尽蔵にこなせる場合はベキ乗則が現れる.コーディネーション理論が示すようにICT の進歩が情報伝達コストを下げるのならば,これが不平等の正体であろう.情報伝達コストの低下によって性能が見えるからこそ不平等が生まれる可能性があり,圧倒的な性能を持っているからこそ不平等が実現できる.インターネットを始めとするオープンイノベーションの本質はそこにあるといえる.完全に理想的な市場になったときにはネットワーク上では不平等が起きるのである.情報伝達コストが低下し,遠隔情報の有用性が高まるということは社外にも最適解を見つけられると同時に,企業の格差をより助長していくことに等しい.したがって今後の企業はオープンイノベーションを避けることが非常に難しいという仮説が立てられる.
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情報伝達コストが限りなくゼロであるならば、有能な人の能力が発揮されやすくなる(能力の発現を邪魔するものがなくなるため)。社内に人材を求めるよりも社外に求めた方がそういう有能な人をつかまえやすく(確率論的に言って)、圧倒的なイノベーションを実現するならば、そうしなさい、ということを言っているわけですよね?企業文化の問題を無視すれば、うんそうだという感じですが。(ここではたと気づいたのは、Googleの人材採用はまさにこれを地でいくやり方なのではということ)

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この情報伝達コストの低減によるスケールフリーの発生などのネットワークの広がりが,イノベーションに対してどのような関係を持つのか.これは非常に広範囲に渡る研究領域であり,それを示す研究はまだ存在しない.しかし代わりに,チームのメンバーが多様なバックグラウンドから構成される場合にイノベーションにおけるブレークスルー(革新的な進歩,卓抜したアイデアで現状を打破すること)を達成する可能性が高いことを示す研究が存在する.現段階においては,そこからイノベーションとネットワークの関係を類推することが可能である.
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このような”異能”の人がいた方がよりおもしろいイノベーションになりそうだということは、十分に理解できます。

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縦軸がイノベーションの経済的価値であり,横軸がチームメンバーの規律属性である.横軸の規律属性が高いということは,複雑ネットワークでいうところのホモフィリー(似たもの同士)が高いことを示しており,反対に低いとヘテロフィリー(違うもの同士)を指す.図5 のように多様性を高く,すなわちネットワークをヘテロフィリーに広げた場合,イノベーションの結果もまた広く分散することがわかる.つまりネットワークを広げれば大成功もあるが失敗も多くなるのである.
 中略
ただ少なくとも同じ専門領域を持つ者同士では成功確率とブレークスルーに達する可能性のトレードオフが存在するため,通常では圧倒的に価値の高いイノベーションも産まれず,新市場を創造できないことがわかる.
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新しい市場を切り開くような非常に力のあるイノベーションは、色んな人が交じり合っているチームでやるのがよろしいということ。これはほんとにそうだと思います。

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異業種人脈などヘテロフィリーなネットワークの本来の強みはそこにある.反対にホモフィリーなネットワークではリスクを取れない以上,これからの可能性に乏しく対応が遅れるかもしれない.次世代の情報共有でも,一見必要でない情報からでも有益な情報を得ることができるようになるだろう.それは情報検索というよりは情報推奨の概念であり,ヘテロフィリーで有益な情報提供が今後は求められてくる.
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これらをまとめれば、企業が圧倒的な競争力を持つイノベーションを実施したいと考えるなら、ヘテロフィリーで図抜けた人材も混じることのできるネットワーク(それもスケールフリーなネットワーク)が自然にできあがる環境を整備せよ、ということになるのでしょうか?それってあたかもGoogleのキャンパスのようなもの?

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