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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

うーん、Napsterすごすぎ

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例により早朝起床で案件に着手しかけようとしたところ、Napsterが。

操作感が往年のNapsterとあまり変わりませんね。ダウンロードしたい曲をたくさん指定して、それらが”天から降るごとく”(C)坂和氏 やってくるあの感覚がうまく再現されたよいインターフェースだと思います。

今は30分ぐらいしかいじれませんが、クラブ/テクノの充実ぶりがものすごいですね。過去に食わず嫌いだったアーティスト(例えばAphex Twin)、カバーしきれていないアーティスト(BTとか)などなどを思う存分ダウンロードすることができます。Bjorkのライブ曲がかなりあるのもうれしいですね。特に初期のライブ。Aから初めてDぐらいまでやって、もうおなかいっぱいという気分になりました。

これで何が起こるかというと、たぶん、特定のアーティストのレベルで考えて、いわゆるライフタイムカスタマーができると思うのです。ここでめぐり合えて、たくさん聴けたから、今度新譜が出たらお金を出して買う。あるいはライブに行く。そうして30になっても40になっても聴き続ける。

それにより、彼/彼女が生涯において当該アーティストに支出する金額は、想定されるどのシナリオよりも最大化されると思うわけです。個々のアーティストに対してだけでなく、彼/彼女における音楽全般に対する支出が最大化されると思うのです。なぜなら、音楽を購入するという体験は、まず「聴く」ことがなければ発生しないから。しかも、ポップミュージックの場合は「繰り返し聴く」ということがなければ、消費が発生しにくい性格があります。(関連業界の方は、それなりのモデルを作ってシミュレーションをしてみるといいかも知れません。)

その「繰り返し聴く」ための環境は、昔はラジオが提供していたわけですが、いまは残念ながら、リスナーとアーティストが出会う場としてはうまく機能していません。

Napsterが日本でこのように登場したことで、音楽業界全般が確実に進化すると思いますね。それも、よい方向にです。ベタな言い方をすれば、それによって食える人が確実に増えると思う。1~2年のスパンでは逆に売上がへこむということはあるかも知れませんが、5~10年では確実に市場の規模が違ってくるはず。

くるり、いいですね。

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その後気づいたこと。

・以前のNapsterでは、P2P特有の”あなたと私がつながる”感があった。この曲を持っている”彼”の耳は信頼できるから、”彼”がストアしている曲を少しもらっておこう、という行為が生まれた。現在のNapsterはP2Pではないものの、コミュニティ機能のなかに「他のメンバーのコレクションをみる」機能があり、おそらくこれがその代替機能になるはず。

・つまり、原則無料であるからこそ、メンバー同士でコレクションを公開しあい、楽曲の擬似的な交換ができるようになる。これにより、当該リスナーの持つ伝染力および個々のアーティストや個々の楽曲が持つ伝染力がうまく機能する環境が生まれる。→潜在リスナーにリーチできないという機会損失が減る。

・運営者がタワーレコードであることがものすごく強みを発揮している。”少し勉強して体裁を整えました”感が一切ない。音楽がわかる、音楽が好きなスタッフが作りこんでいるということがすぐに伝わってくる。

・会員規模拡大のためには、ほんとうに可能であるとしたら、mixiにAPIを開発してもらい、相互に機能を開放すればよいと思う。それができれば間違いなく1年で300万人は堅い。

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