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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

フラットな時代の日本語のメリット

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結局、「フラット化する世界」で述べられている企業の話、すなわち、インターネットで接続された企業同士で世界規模のSourcingが可能になるということは、英語を使う企業に限られた話ではないかという気も、少しだけします。

知的な業務が米国からインドにアウトソーシングされているのは、インドが英語圏だから。航空機の開発でロシアやインドの技術者に依頼がゆくのは、彼らが英語で連携できる技術者だから。といった具合に、英語圏の国同士、あるいは英語で企業活動を行うの間でもって、業務に関する”適地”が移動して歩く。それによってフラット化が進むという流れがあります。

英語圏ではない日本についてはどうなのかということを、少し考えてみなければなりません。細かなことをすっとばすと、次の2点に集約できると思います。

①英語圏の企業の間で猛烈な勢いでフラット化がするなかで、それらと同じ事業ドメインで展開する日本企業は、否応なく価格競争に巻き込まれる。それを避けるには、脱コモディティ化を仕掛けていくしかない。

②一方で、世界規模のフラット化とは無縁な形で、日本語に守られて、従前どおりの企業活動を続けることができる企業が存在する。

英語圏の企業の間接業務は、可能なものはすべてアウトソーシングされると考えて間違いありません。世界の市場でこれと戦う日本企業においては、同種のアウトソーシングをしない限り、価格に収斂される競争力が維持できなくなってしまいます。
自分は業務のなかでアウトソーシングやアウトタスキング(変形版)、コア、コンテキストなどをこの3年ばかし考えてきたので、トマス・フリードマンが言うところのSourcingのすさまじさには実際のところ恐怖さえ覚えました。これは弊害を受ける企業が日本でも多数出るかもしれないという恐れです。

ただ一方で、彼が着目しているSourcingの対象領域は、日本人が非常にこだわる”手触り””肌理の細かさ””品質の高さ””工業製品に細かな瑕疵がないこと””使ってわかる快適さ”といったものとは、おそらくは無縁の、従って多少乱暴に取り扱われてもマニュアルどおりに処理されていれば済む話という世界のものであることは、日本人なら誰もが気づきます。
現実問題として、日本の金融機関のコールセンターが(今現在実際に大連で稼動してはいますが)、どこかの他国にあって、非常に高額な金融商品の、コンサルテーションを伴う販売を行う担当者が話す言葉が、ネイティブな日本語ではないとしたら、おそらくかなりの割合の顧客が、いわく言いがたい違和感を覚えるといった、日本の顧客全般の非常に細かい点にまでこだわる品質意識というものがあります。

このへんを勘案するとどうなるのか?今はまだ考えが整理できていないので、改めて書いてみたいと思います。

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