Report on Japan's infrastructure topic on weekend.

英語で説明しにくい「擦り合わせ」

»

フラット化する世界において、世界市場に進出している日本企業が拠り所とすべき点は、藤本隆宏氏が提唱しているところの「擦り合わせ」とその周辺であろうことは、多くの方がお気づきだろうと思います。
この関連の議論はご存知のように少し発展していて、内部におけるインテグラル/モジュラー、外部におけるインテグラル/モジュラーをそれぞれ組み合わせた4つの戦略パターンに分化し、個々の企業が身を置く業種と状況に応じて適した戦略は異なるとされています。
「擦り合わせ」に対応した英語も「Integral」ということも定まっています。

それには異存はないとして…。この議論を米国の人などに説明する際に、「擦り合わせ型のアーキテクチャが重要なんである」という意味でごく普通に「Integral Architecture is the key...」などと言っても、あましピンとこなかったりして、大変です。
「擦り合わせ」という概念は非常に言語依存的な概念であって、たぶんほんとうにわかるのは日本人の間同士だけなのではないかということをちらと思ったりします。どうでしょうか?

仮にそうだとすると、製品の製造における「擦り合わせ」ができるのは日本人だけということになり、「擦り合わせ」(という言葉を駆使して、それを操作的に行えること)が日本の競争力の源泉のすべてとは言わないまでも、源泉の一部を担っている、ぐらいは言えるのではないでしょうか?なんちて、多少安易。

Comment(22)

コメント

刷り合わせの反対は妥協。刷り合わせを成功させるには高度なコミュニケーション能力、またはどちらかが一方的な強制力を持っている必要があります。多くの場合は、妥協の産物に落ち着くのですが、それには、労力なども勘案した上で、何もしなかった場合と比較してそれ以上の価値があるのでしょうか?

技術的や論理的には簡単に可能なことであってもそれを実現できるかどうかは多分に間に入る人の資質に依存していると思います。時間とお金をかけて遠くへ出張して、堂々と相手の文化が悪いといって妥協して帰ってくる人が多すぎると思いませんか?ごく少数のそういうことに長けている人にやらせればすんなりいくのですけれどね。  エヘヘ、辛口。

まりえさん、
コメントありがとうございます。「擦り合わせ」は日本のものづくりに着目したある経営学派で言われている概念です。。日本の自動車業界における、部品と部品とをすり合わせる非常に微妙な作業からきた概念です。日本のクルマの高品質の源泉とでも言うべきもののようです。
あうんの呼吸だったり、暗黙知だったり、優れた職人の非常に高度な技だったりするのでしょうが、なかなか言語化しにくい世界であることは確かだと思います。その言語化しにくい部分を日本人は平気でコミュニケーションしちゃう(明示的なコミュニケーションがなくても伝えられる)のが、すごいと思います。

もこまち

まりえさんの表現にも鋭いところありますね。
私は金型加工をやっていて、金型の組付けを隙間
なくきちっと行うのに磨きをかけて寸法を調節し
てたりするのが仕事です。
 これはその前の熱処理の工程で金型部品がほんの
わずかゆがみ、そのせいで金型がうまくはまらない
ので何時間もかけて手研磨するのです。ところが、ある日から金型の材料をマジックとかいうものに変えたら、修正レスで一発で嵌りはじめました。
 聞く人には微妙な話かもしれませんが、私たち
にとっては本当にマジックでした。

もこまちさん、コメントありがとうございます。
そのマジックなんとかという金型材料はすごいですね。たぶんものすごいイノベーションなのではないかと思います。製造業の核とも言える金型の世界では、これからも色々なイノベーションが起こると思います。

himat

日立金属のSLD-MAGICかな?縁が無くなって久しいし、合金名にも記憶が無かったのでちょっと調べてみたのだけれど。
私の頃は、並みの奴でSKD11やSNCM、ちょっと贅沢するときはNAK55とかSTAVXで設計してくれって言われた。
加工の方は、下削りの応援にはよく入ってたけど、仕上げはほとんどやらなかったからなぁ。
電極の摺り合わせは時々やってたけど。
ところで経済英語で摺り合わせは”Integral”なんですか?
元工学系の人間としては統合とか集積のイメージが強くて、ものすごく違和感を感じるんですけど。
工業技術英語からいうとadjustingとかMatchingじゃないと通じないんじゃないのかなぁと思います。
工業技術英語はちょっと異質な部分有りますからねぇ。
世間一般にはタップはタップダンスとか分岐のことだしジャーナルと言ったら雑誌だけど、技術屋内ではタップはめねじ切り工具だしジャーナルは軸受けの事ですから。
多分アジャスティングしろ、とか、マッチング取れって言うと通じそうな気がするんですが。
そういや、喧嘩仲裁屋はアジャスターだから、もしかすると世間一般にも通じるのかも。
ただ、摺り合わせ加工の中でもちょっと特殊な”キサゲ加工"は日本独特なのか、海外に持っていっても”キサゲ”で通じるって事を聞いた覚えはあります。

浅井t

Open InnovationというHBS Pressの本では、Interdependent-architecture という語を使っていますね。Modulerは、そのままModulerです。

himatさん、コメントありがとうございます。
>多分アジャスティングしろ、とか、マッチング取れって言うと通じそうな気がするんですが。
言葉が持つニュアンスが深いですねー。おっしゃることは、よくわかるような気がします。Integralだと違和感があるということは、擦り合わせ論を展開する藤本隆宏氏らにフィードバックする機会があるといいでしょうね。ここを読んでてくれたりするとうれしいですが。たぶんないでしょう(爆
そういう日本語の微妙なニュアンスが英語に置き換えにくいということについては、永井さんが投稿されたハイ・コンテキスト/ロー・コンテキストの考え方がうまく説明してくれていると思います。
http://blogs.itmedia.co.jp/mm21/2006/07/__34cb.html
日本の言葉が持つ微妙なニュアンスは、ロー・コンテキスト環境には移植しにくいのかも知れません。
(ただし、米国にも、非常にハイ・コンテキストなコンセプチュアルアートを作り上げるアーティストがいたりするので、ロー・コンテキストだけで成り立っている平板な社会だ、などということは言えないと思います。当たり前といえば当たり前ですが)

浅井tさん、コメント恐縮です。
モジュラー型アーキテクチャに対比して言う際の相互依存型アーキテクチャのことですね。「デザイン・ルール」が手元にないので、どういう訳語で定着しているかわかりませんが。藤本氏らが言っている「擦り合わせ論」における「インテグラル」は、ボールドウィン=クラークから出たと思われるmodular/interdependantと少しだけ違うような気もします。それというのも日本語独特の微妙なニュアンスを藤本氏らが「擦り合わせ」というタームに込めているからで。。。。やはりハイ・コンテキスト社会ゆえということでしょうか。

MAXWELL

>himatさん
 私は自動車産業以外の重量級プロダクトマネージャー的なことが存在するのかということで色々探していたのですが、そのSLD-MAGICの開発者などはその例に属するような気がします。

アシモ

私は、藤本流経営学の成果は企業活動の根性論をややもすると精神論になりがちなところを理論化したことだと思います。
 「擦り合わせ」という言葉、物凄くセンスがいいように思います。機械の製造は精度が重要で、かつて手工業的時代は、大まかに加工した部品の精度を組み込む時に、研磨で擦ってはめ込んで合わせて、また擦ってはめ込んで合わせてという作業をしながら各部品を組み込んでいったところから発生していると思います。
 このような行為は前近代的と馬鹿にされがちですが、モジュール化できなくて部品点数も多く、しかも一品料理のようなものには重要な工程です。特に金型の複雑なものになるとそういう要素が高くのが現状です。モジュール化の対極にある金型が、モジュール部品を作っているので、大なり小なりインテグラル(擦り合わせ)技術に依存しているのが多くの生産現場の実態だと思います。
 研磨で寸法を調整するのは部品Aですればよいというのは必然ではなく、隣の部品Bでもよいのです。全体最適化のためにA,Bどちらを擦るのかを関係者が議論をする場、それが現在使われている「擦り合わせ」の語源ではないかとの感想を持ちました。

アシモさん、興味深いコメントをありがとうございます。
>研磨で寸法を調整するのは部品Aですればよいというのは必然ではなく、隣の部品Bでもよいのです。全体最適化のためにA,Bどちらを擦るのかを関係者が議論をする場、それが現在使われている「擦り合わせ」の語源ではないかとの感想を持ちました。
その議論が特定の言語に依存しないものであるならば、他の国でも擦り合わせが可能だということになりますかね?
意外と擦り合わせの本質は日本製のファシリテーションだったりして(^^;

タクト

興味深いお話ですね。
アシモさんはAとBの話で単純化されていますが、そのような関係が無数にあるということが現実のモノづくりということになるのでしょうか。
 モジュラーは企画設計と製造があたかも分離したことになっていますが、インテグラルは例えば20点の部品点数を作り上げる製品の総纏め会社と個々の部品をつくる会社の会合があり、企画設計がどこで行われたか?製造は企画設計が完全に固まってからスタートしたのか?というとそれは違うという声は多い。

ロビントムソン

アンペア時は、それは正当化を私に思い出させる(か。) より長く提言された日本の拒否のための80年代の間に日本の人々の輸入するために腸が平均25%にであるアメリカのビーフ、即ち(またはより短いか。) アメリカ人、従って彼らよりそれをきちんと消化することないがありなさい。 (だれがこのナンセンスの上で考えるか。) 同じ時間頃またあった有名な日本の頭脳の科学者(phrenologistか。)が解説したarrant jibberishが 欧米人のためのそれが公正な騒音だった一方日本の人々は半の分分および鳥の鳴き声のような音を聞き、音楽として感謝できることを外見上意味した右側の彼らの頭脳そして欧米人のの音楽を左側に聞いている日本の人々について。 これらのすべてdisreputeにばかばかしいNihonjin-ron主として落ちたことなんと救助か! suri-awaseのため、疑いは「粉砕」による和解の概念全く理解し私達のためにかなりにくいtroglodytesでない。

Thanks for your comment. I think I can write my view points on Japanese language issue, especially on its influence on Japanese people's thinking way. I mean in the near futre... It's very detailed and delicate. There is no way to explain easily.

ジャンセン

>himatさん
 SLD-MAGICって日刊工業新聞社の日本ブランド賞に選ばれた統合型冷間金型用鋼のことですね。他にも色々賞をもらっているみたいです。

大田

それって技術誌の素形材っていうのに論文が
載っていました。なかなか独創的な合金設計を
やっているんですね。

石原吉郎

その開発者はかつて、研究開発の執念深さを「白鯨」という小説にでてくるエイハブ船長のようだと評されたことを聞いたことがあります。
 私は中島みゆきの宙船という歌が好きでカラオケでしょっちゅう歌っていますがその歌詞がその話とダブってしまいます。

宙船

日立グループの中にも気概のある会社が
あるんですね。日立は投資家から、子会社の
持ち株比率が高すぎて、子会社には独自の気概
が本当にあるのかと問われていた。しかし日立金属
は日立建機と似て、独立時尊の哲学がちゃんんと
あるようで、グループ各社の株価の変化と違う独自の様相を呈している。
 日立はこういうところを大事にするといいのだがと
贔屓の人間にははがゆく思われる。

大体、「たぶんほんとうにわかるのは日本人の間同士だけなのではないかということをちらと思ったりします」みたいな発言をする人は、あまり海外の事を深く知らない人に限る。

日本のことしか知らずして、「これは日本人のみです」というのは、滑稽。

コメントありがとうございます。レスポンスが遅くなりました。どう返答していいものやら躊躇しておりました。
人生いろいろ、ブログもいろいろ。
そんなところでお開きにしましょう。

トライボシステム展望(well-to-wheel)

 やっぱり産業機械の国の競争優位性は境界潤滑をどう制御するかにかかっていて
ドイツ車のダウンサイジングの嵐も、結局ピストンピンにDLCだった。しかしこれは違う。潤滑システムを見直せと言っている。自分の担当の部品だけに固執して表面硬度
をガンガン上げて、相手材を破壊したり、循環システム全体にナノダイヤをまき散らすのは良くないといっているのだ。つまりドイツ方式の部分最適化ではなく全体でドイツを上回るエンジンを作れる展望を示しているのだと思う。

今泉

トライボシステム展望様、
コメントをどうもありがとうございます。フラーレンのようなサッカーボールの炭素化合物を植物系原料から作る技術を保持している方がそばにいて(先般ご逝去されましたが)、その炭素化合物、アモルファスカーボン前駆体と呼んでいらっしゃいましたが、それを、潤滑油の添加剤に使うと、潤滑性能が飛躍的にアップするのだそうです。似た記述を米国の関連資料で読んだことがあります。
ピストンとシリンダーの間のごくわずかの透き間で、その化合物が薄い膜を作るらしく(それがアモルファスカーボンと、その発明者が呼んでいたもの)、その膜ができると、潤滑性能が飛躍的に上がる。イメージで言うと、燃費が2〜3割向上するような形になります。お名前から、そのことを思い出してしまいました。

コメントを投稿する