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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

「年商1,400万」と「年収1,400万」はぜんぜん違う

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お金の話をもう1つだけ書いておきたい。お金の話を「ですます」で書くと間が抜けるので、今回も「だである」でいく。

「年商1,400万円」などと掲げていると、会社勤めの方は「はっ」とか思うかも知れない。少し前までプロフィールにそのように記していて、「すごい年商ですね」というメールをいただいたことがある。違う違う、ぜんぜん違う。それは「年商1,400万円」と「年収1,400万円」を混同しているからで、両者はぜんぜん違うのである。まじで本当に違う。

弊社のような法人≒事業主である環境では、年商1,400万円が持つ経済的便益は、会社勤めをしている人の年収700万円程度に等しい。端的に年商の半分が年収だと考えてもらって差し支えない。これが果たして多いのか少ないのか、多すぎることはないと言えそうだし、少なすぎることもない、微妙な水準だと思う。地域の生活コストによっては十分すぎるのかも知れないけれども、首都圏ではかなり微妙な水準ではないだろうか。もちろん報酬に対して感謝を忘れてはならない。しかし客観的に見た水準はそういうところである。

小さくとも法人を運営していると、法人なりのコストが種々かかる。法人は帳簿をつけて年度の決算をしなければならない。普通は経理の知識がないからすべて税理士に任せることになる。その税理士報酬と決算書作成コスト。
法人には法人税、法人住民税などの税がかかる。最近では消費税の免税制度の基準が厳しくなってほぼすべての法人が消費税を納めなければならなくなった。売上の5%である。けっこうな金額になる。
実質的に自分=法人である場合、本来なら会社が負担してしかるべき福利厚生関係の負担を自分が負担する。当然である。公的年金、公的保険。将来的な年金の受給額を厚生年金並みにするには、個人として色々積み増す必要もある。

それから売上のアップダウンに対する備え。経営環境の変化で売上は当然のごとく上下するわけだから、低迷時に備えて法人としてのたくわえをしておかなければならない。また、収益メカニズムとしての法人の存続可能性を高めるためには、何らかの投資を怠ってはならない。こうしたリスクへの備え、将来への投資という2点は、すべての会社勤めの方が目には見えないけれども、所属する組織から恩恵を受けている部分である。自分≒事業主≒法人であると、自分が主体的にそのへんを手当てするわけである。

さらには事務所を借りている時はそれなりに、借りていない場合でもそれなりにファシリティコストがかかる。場所代、机などの美品、光熱費やなんかも。
消耗品、パソコンまわり、通信費。この種の仕事をしていると新聞、雑誌、書籍、有料データベースなどにかかるコストもけっこうなものになってくる。

それやこれやを総合的に勘案すると、年商1,400万円=年収700万円なのである。そのへんが理解できてくると、長期安定クライアントがいない状況における1日1,000ドルはなんら高すぎるギャランティではなく、むしろ穏当、標準、妥当な水準であることがしみじみと納得できてくると思う。

個人事業主が陥りがちのワナは、開業当初はこのへんが体感的に理解できなくて、年商1,200万円を超えたあたりからかなり有頂天になり、ぱかぱか経費でいろんなものを買い込んでしまうケースが多々出るということである。年商1,200万円だと年収600万円にほかならず、その状況で経費でぱかぱか色んなものを買ったりしたら、後はどうなるかはおわかりだと思う。そのへんは数年前に身をもって学習した。

少し前までプロフィールのところで「年商1,400万円」を掲げていたのは、ドメイン更新のポカで弊社のウェブサイトを消失してしまい、「今泉は商売をたたんでしまったのか?」と思われた方が複数出た模様で、「いえそうではなくきちんと営業しとります」という、いわば「営業中」という意味で掲げていた。ウェブサイト消失中は心配してメールをくださる方がいらっしゃって、まことに恐縮してます。

でもやはり言えるのは、自分で事業をやっているなら年収3,000万は目指さなければならんということで(年商6,000万である!)、そのためには、さまざまな意味におけるビジネスモデルの構築ならぬ、獲得が課題になってくる。頭を使おう。体を使おう。

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