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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

つまるところは「更新性」

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これだけブログが注目されるというのも、インターネット上で日替わりの更新がなされていくことに、何らかの普遍性があるからだと思います。

コーヒー屋で外を行き交う自動車を眺めながら、この「更新」の意味を括るよい言葉はないかと、「更新可能性」、「被更新性」などを思い浮かべていたのですが、そういえば、自動車は「更新」されるようにはできていないよな、という今さらながら当たり前のことに気付きました。

仮に自動車が「更新」可能であるとしたら、シャーシは同じままエンジンを載せ替えたり、ボディを3ヶ月にいっぺん取り替えたりということをする人が出てくると思います。

言うまでもなく、PCの世界ではそれに近いことが可能になっていて、私なども短期集中で知識を仕込んで、自作PCの中級者ぐらいにはなれましたが、「全部を買い換えること必要はない」現状にひどく満足しています。

クルマを丸ごと買い換える必要がなくなると、それでなくても新車販売台数が減少している現在、市場がさらに小さくなってしまうのではないかと危惧する方が、特に自動車業界にはいらっしゃるかと思いますが、現実はそうではないように思います。

何かが更新可能であるということは、「デザイン・ルール」(ボールドウィン)冒頭で説明されているように、全体の設計が標準化を旨として行われており、個々の領域がモジュール化されていることとイコールですから(すごい論理飛躍)、その標準仕様をもって、中国などでパーツをがんがんに作り始める。すると非常に低価格なパーツなども市場に出回るようになる。それで例えば60万円で現行のカローラぐらいを組めてしまうようになるかも知れない。
(いや現在の日本の自動車はモジュール化だけでは実現できず、「擦り合わせ」によって高品質が保たれているのだという議論はさておき)

それによって、市場を失ってしまう部分があるかも知れませんが、消費者の側は選択肢が無数に増えるので、かえって、現状では市場に入ってこれない層も入ってくるでしょうし、パーツの組み合わせで多種多様な付加価値が提供できますから、新規に得られる市場の方が大きいということは、大いにありえます。

そういう市場のドラスチックな変化に対応することで、かえって企業としての力は鍛えられ、未来永劫続くdurabilityというか、「ビジョナリー・カンパニー」の原題である「Build to Last」な企業になるのではないか…。などということをつらつら考えていました。

この「更新」に関して、原義にあたる英語がないものかと探してみると、update capabilityといった言葉が見つかりましたが、やはり強い言葉は1語ということで、さらにあたってみると、"updatability"が見つかりました。日本語で「更新性」。しっくりきますね。

家が更新可能になる。これは多少厳しいかも知れません。(けれどもハニカム構造部材を使ってモジュール化を志向した住宅は存在していますね)
会社組織が更新可能になる。これはありですね。アウトソーシングとインソーシングを発展的に用いれば十分にいまでも可能です。
自治体が更新可能になる。これは市場化テストなどの手法を用いれば不可能ではない。
なとど更新に向いたもの、向かないものなどを考えていくとおもしろいです。

おそらく、現代の人々はブログで「更新性」を覚えてしまった以上、後戻りはできず(目が肥えてしまっている)、消費者として向き合う対象にも更新性を求めるようになるのかも知れません。製品やサービスなどで更新性が提供できない企業よりは、提供できる企業の方を選ぶ。例えば、○○○○○よりはアマゾン。○○○○○よりはGoogle。○○○○○よりは自民党(なんちて)。
となると…。

「デザイン・ルール」を早く読了しなくては。

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