思考実験:2010年「殺傷ゲーム禁止法」制定
あまりにも痛ましい事件が多すぎる。
ここのところ立て続けに、少年少女や若者による、放火、殺人などの事件が起こっている。個々の家庭の問題や教育問題として取り上げられることも多い。しかし、これらの痛ましい社会現象に対してIT業界は積極的に取り組むことはできないだろうか。
そのアイディアとして、「殺傷ゲーム禁止法」の制定を考えてみたい。
私は、若い人たちがこれだけ人の命を軽く扱うようになった最も大きな原因は、家庭でも学校でもなくテレビゲームではないかと危惧している。ゲームの中ではあまりにも安易に人を殺す。しかも、昔のゲームと違い最近のゲームのリアリティの高さといったら、映画かと思うほどのクオリティだ。「リセット症候群」などという言葉もあるが、残念ながら現実の世界ではリセットしても死んだ人は生き返らない。
このような悪影響をなくすために、テレビゲームから殺傷シーンを一切排除するというのが「殺傷ゲーム禁止法」の主旨である。殺傷シーンがあるテレビゲームは一切販売してはならない。営業停止などの罰則も付ける。抜け道を通る輩も出るだろうが、これを社会的に「罪である」と定義付けるところにまず意味がある。
反対意見は、まずゲーム販売会社から出るだろうか?営業に影響が出ると。ストーリーが成り立たないと。ゲーム機の販売会社からも出るだろうか?市場の縮小を招くと。プレイヤーの反対署名なども起こるだろうか?楽しむ権利を守れと。もしかしたらマスコミからも?表現の自由を守れと。
しかし、昨今の事件はまだ前兆でしかないのではないかと危惧している。幼いころから人を殺すゲームに親しみ、命の重みに実感のない人たちがどんどん増えている。いま事件化しているのは、実はほんの一部で「俺だってやってたかも」と思う予備軍は数知れないのではないだろうか。そして、これからも。
殺傷シーンがなくても面白いゲームソフトは数多く存在する。ゲームソフトが世の中に不幸を撒き散らすツールとなる前に、この法律を制定してはどうだろう。既存のビジネスとの関係を考えると施行は2010年あたりが適切ではなかろうか。メリット、デメリット、出そうな賛成、反対意見、考えられる影響などについて、オルタナティブブログ読者の皆さんと一緒に考えてみたい。
皆さんの意見をお待ちしています。
[2006/07/08 追記] こちらに続きます。⇒「思考実験」の続き:なぜ「強姦」は禁止で「殺人」は禁止でないのか?