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開けてしまったらあふれ出すテクノロジー。そこには希望が残っていた!

あけましておめでとうございます

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皆様、あけましておめでとうございます。

昨年9月にIBM東京基礎研究所に異動となりまして、新しい立場にて新年を迎えることができました。今日からは、今まで以上に自分の芯をしっかりと持って活動してゆきたいと思います。

一部の方はどこかで聞いたか読んだかしたことがあるかもしれません。これを初めてカミングアウトしたのは、ProVISIONという日本IBMの技術誌に紹介されたときのことです。

- HAL9000を造りたい -

それが私の「芯」です。

そこへ邁進することを決定づけたものはたくさんあるのですが、それはまた別の機会に。

脳科学、脳神経学、心理学、哲学・・・・そういった分野の学者の皆さんには、人格・感情・意識・精神・価値観といったことに興味を持たれ、日夜学習・研究・開発されている方がたくさんいらっしゃることでしょう。

私は、まったく違う側面から、その分野に小さいときから興味を持ってきました。それは「IT(Information Technology : 情報技術)」です。
脳神経の処理内容の多くは情報処理です。「シナプス」と言われる、非常に小さく単純な構造の細胞が「コンピューターノード」としてなんらかの役割を果たし、「側索」と呼ばれる神経節を延ばして繋ぎ合わせたネットワークを形成して脳の機能を果たしています(または、そのように現代では理解されています)。この構造は、ネットワーク・コンピューティングと非常によく似通っており、模倣して似たものを作れてもおかしくはないはずです。人が造った計算装置の中に人格が形成される・・・・。
私がIBMに(入社によって)入門するに至った最も大きなきかっけは、SF映画「2001年」に登場した「HAL9000」でした。おそらく半導体であろうものから作られたコンピューターシステム=計算機「HAL9000」が、宇宙船の制御をし、人間の言葉(当時英語)を使って人間と会話し、チェスをしたり、スケッチを見たりしてコミュニケーションを計る。こんなものを自分で造れるようになりたい、と小学校5年生の私は夢見たのです。まだコンピューターの知識はまったく無かった私でも、「これは夢のような装置である」ということを本能的に気づいたのでしょう。そんなとき、この映画「2001 Space Odyssey」は、「それを実現するのはIBMである」と教えてくれたのです。
まぁ、IBMのほかにもたくさんのITベンダーが登場し、今ではそのかぎりではないかもしれないですが。さて、IBM論はちょっと置いといて、技術的な話にいきましょう。
HAL9000のようなコンピューターシステムを造るにはなにが必要か考えなくてはいけません。
まずは「目」です。
HAL9000を象徴するのは、あの「赤いランプ」。「消防設備の標識でしょ」なんて言ってるあなた。そりゃないでしょ。(いや、そのとおりなんですけどね、うちのマンションにもHALの目はついてます)HALの目は、人を識別し、スケッチを見たり、唇の動きを読み取ったりできます。
次に言葉の聞き取り「耳」です。
登場人物の多くが、HALに対して口で話しかけています。「Open the pod bay doors, HAL !(ポッド・ベイ・ドアを開けるんだ、HAL !)」HALは、コンピューターシステムですが、キーボードで書き込んだりマウスで指示したりしなくても、言葉で話しかければ意思疎通が可能です。
そして「口」です。
HALは切り返します。「I’m sorry, Dave. I’m afraid, I can’t do that.」このコンピューターシステムは「喋る」のです。
そして、もっとも重要なのは「記憶」「人格」「精神」「価値観」のようなもの。HALは、映画「2010」の中で「Dr.チャンドラ」に問いかけます。「Will I Dream ?(私は夢を見ますか)」そんな心配をするコンピューターは、現代の世の中にはありません。
こういったことを可能にする技術動向や発展度合い、なにが足りないのか、今後どうすべきなのか、なんの意味があるのか。そういったことについて、今後は探求してゆきたいと思っています。
まぁ、仕事があるので、仕事しなくちゃならんのですが。仕事にもそれなりにからめつつ、進めてゆきたいと思います。
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