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夏目房之介の「で?」

正月特番『坊っちゃん』

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昨日、テレビの『坊っちゃん』、最後のほうだけ見ましたが、だいぶん変わってましたね。坊っちゃんと山嵐は勝者になってました。まあ、そのほうがわかりやすいんでしょうね。原作まんまだと、今のテレビでは通じにくいだろうとは思う。マドンナも、正直者の坊っちゃんの影響を受けて、うらなりと一緒になっちゃうし。で、それを傍観していた小説家(又吉。あ、こいつがうらなり?って最初は思ってしまった)が、それを小説にする、という設定なので、筋は通ってるんですけどね。その設定だと、痛快な勝利の話を、与太郎が敗北する、痛快にみえてじつは暗い小説にしちゃった(拙著『孫が読む漱石』参照)っていう話になるんだけど、それはそれで面白い設定だったかもしれない。
それはそうと、小林信彦『うらなり』って、のちに山嵐とうらなりが再会して、坊っちゃんについて「わからない奴だったなあ」って話す小説なんだけど、すごく面白い。あっちを誰かドラマにしないかしら。

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