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【書評】『ソーシャルメディア・ダイナミクス』:つながりを、つなげる

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著者: 斉藤徹 ループス・コミュニケーションズ
毎日コミュニケーションズ / 単行本(ソフトカバー) / 256ページ / 2011-01-20
ISBN/EAN: 9784839937751

斎藤 徹氏+ループス・コミュニケーションズによる、ソーシャルメディアに関する一冊。ビジネス活用をテーマに、業界の最先端を走ると言われるループス・コミュニケーションズのノウハウが、ぎっしりと詰まっている。

本書の最大の特長は、視点の多様性という点にあると思う。タイトルにソーシャルメディアという名前がつくの本の多くは、Twitterや
Facebookを題材に展開されていることが多い。しかし本書においては、その二つをおさえながら、国内SNSと言われるmixi、GREE、モバゲー 3社のインタビューや、総合広告会社の視点からみた対談など、実に幅広い領域を取り扱っている。つまり、”つながり”を生み出すさまざまなモノを、一冊につなげているのが本書なのである。ここに、ソーシャルメディアなどという名前が存在する以前からこの領域に取り組んできた、プロフェッショナルの奥深さを感じる。

◆本書の目次
CAPTER-01:ソーシャルメディア・ダイナミクス
CAPTER-02:ソーシャルメディア活用、5つのポイント
CAPTER-03:ソーシャルメディアを活用せよ!
CAPTER-04:ソーシャルメディアのつくり方
CAPTER-05:ソーシャルメディアの付き合い方
CAPTER-06:共感のデザインを賢者に学ぶ
APPENDIX:「企業におけるソーシャルメディア活用状況」に関する調査結果
個人的に興味深かったのは、CAPTER-04のソーシャルメディアのシステム構築への言及、CAPTER-05のソーシャルメディアの運用への言及である。ソーシャルメディアは簡単に始められると思われがちであるが、全てがオープンに晒されているため、始めた後に軌道修正するのが、なかなか難しい。システム構築と運用の両方を、きちんと理解している人間がフロントにいること、それが長期的に成功させるための最大のポイントだと思う。そのほか、効果測定の話や、企業の活用事例のインタビューもバラエティに富み、非常に読み応えがあった。

それにしても、年が明けてからソーシャルメディアを題材にした本の出版が、あまりにも多いと思う。あまりに乱立しすぎると、このままブームやバブルで終わってしまうのではないかという危惧すらおぼえる。最も変化の激しいところばかりを追いかけるのではなく、本書のように多彩な視点でソーシャルメディアを見つめていきたいものである。

 

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