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【ボイトレまとめ9】姿勢「口は開けたほうがいいの?」「アゴは引いたほうがいいの?」

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ボイトレをする上で、口やアゴの体勢はとても大切です。

ちょっとした口の開け方や、アゴの位置によって声の響きかたは大きく差がつきます。

◇◆◇ 口の開け方 ◇◆◇

まずは口の開け方からです。

「発声のときは大きく口を開けましょう」とはよく言われることです。

じつは、私も、以前は、大きく口を開けたほうが良い声が出ると思っていました。

しかし、本当は口を開けない方が良い声がでます。

口を大きく開けることが悪いということではありません。最初のうちは、口を開ける訓練をすることも良いのです。なぜなら、最終的には「口の中が開いている」ことが大事なので、そもそも口があまり開き難い状態であると、良い声にたどり着くことはありません。 だから、口を開ける訓練をしておくことは、肉体的な準備が出来るという意味でも良いことでもあります。

それでは、どのような口の開け方で発声したら良いのでしょうか?

じつは、口を開けない方がよく響くのには理由があります。
あまり口の前を開けすぎると、せっかく良い声を出していても、音の響きが拡散してしまうのです。
ある程度口の前は閉じて、口の中を開けている方が、響きが集まってよく響きます。

口の開け方と響きは密接に関連します。

口の開け方次第では響く声も響かなくなりますので、細心の注意が必要です。 ただ、一度響きを見つけてしまえば、声は楽に鳴るようになっていきますので、ぜひ、口の開け方と響きをトレーニングしてみてください。

口の開け方を追求するには「共鳴のトレーニング」が有効です。
下記に以前ご紹介した共鳴トレーニングの中から「[ng]ボイストレーニング」をもう一度ご紹介しましょう。発声して響きが得られるところが丁度良い開け方になります。意外に口の前を大きく開かないことに気がつきます。

★★★ ngトレーニング ★★★

(1)「ア」の母音を発声するときのように口を開ける。

(2)(1)の状態のまま息を吸う。

(3)吸い終わったら舌の奥を上顎につけ(鼻濁音を発声するときの口のポジション)鼻だけで息を吐く。「シュー」と軽い摩擦音がするように。

*ポイント:息をはくとき、下腹を張りながら横隔膜をしっかり使うようにしてください。

(4)鼻からはく息に声を混ぜ、[ng]「ん~~~」と発声する。口が開いた状態のハミングだと思ってください。

*ポイント:小鼻の脇を両人差し指で軽くおさえるとビリビリと振動します。鼻の下筋トレが進んでくると指を使わなくても振動するようになります。

(5)(4)をしながら、上顎につけていた舌を下げていき「ん~が~~~」と発声(ロングトーン)します。コツは舌を少しずつ下げること。音をよく聴いて[あ]になっても[ng]の響きを残すようにしてください。響きが大きく変化してしまったら失敗です。何回かやっているうちに鼻のあたりで響いているのを感じられるようになってきます。

(5)これを様々な音の高さで練習してみてください。


◇◆◇ アゴの位置 ◇◆◇

「アゴを引いて声を出したほうがよい」というのはよく言われていますし、私も実際、そういうことを指導いただいたことがあります。

しかし、実は、アゴは引かない方が良い声が出ます。

アゴを引いてしまうと、のどの周辺が締まってしまうので、狭くなってしまい、声が響かなくなります。
発声をするときというのは、出来るだけ、喉の周辺に余分な力みが入らないようにすることを最優先とします。

それでは、どのくらいの顎の位置が良いのでしょうか。

よく言われるのが、「ステージからS席あたりを見て声を出すのが良い」といわれています。
クラシックのコンサートですとS席は、1階のちようど傾斜がついている真ん中あたりでしょうか?
この位置を見ると、顎は、心持ちほんの軽く上がった状態になります。

このくらいのほうが喉や首周辺がリラックスして発声しやすいのです。

上がりすぎもよくありませんが、アゴを引いてしまうのは喉の状態をベストに維持するためにあまりおすすめできません。



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