タロット占いは占う前に何を言うか決めている
ボイストレーニングのレッスンにいらっしゃる方で、「アナウンサーのようなしっかりした話し方にしたい」とおっしゃる方がよくいます。
もちろん、しっかりしゃべることが出来ればそれに越したことはありませんが、ビジネスパーソンにとってアナウンサーのような完璧な滑舌が必要でしょうか？
最近、ビジネスパーソンのプレゼンを聞いたときに、「話しは見事だったけれど一体何を話していたのか後で内容を思い出せない」という経験を何度かしました。
上手なんだけれど、なぜか心に残らない。
そういうことがあるんですね。
特に、チームリーダーや社長さんなどの場合、「見事に話せても、メンバーに情熱や志が伝わらない」ということでは、本来の目的が果たせませんね。
お客様の、「こうしたい」「こうなりたい」という希望を聞くことはとても大事です。
しかし、その希望や不満が、100％当てはまるとは限りません。
そして、潜在意識の中で「本当はこうしたい」というものをお持ちなのですが、それに気がついていないのです。
「ああ！私はこうすればよかったのか！」と、そこまで気がついてあげるのが、ビジネスボイストレーニングには必要だと思っています。
「その考えも良いけれど、こうしたほうがあなたに合っているのではないか？」「ここまで必要だけどこれ以降の技術はあまり重要ではないですね」「こうするとさらに良くなるのではないでしょうか？」「こういうアイデアもありますよ」と、相手に合わせてご提案して、カスタマイズすることが必要だと考えます。
タロット占いをやっている方がこうおっしゃっていました。
「本当はタロットに頼らなくても入ってきた相手を見て何を言えば良いのか分かります。その人のために、悪いことも言わなくてはならない。でも、本当のことを直接言ってしまうと、ムッとされたり、逆に聞いてもらえないことがあるでしょう？だから、代わりにタロットに言ってもらうんです。」
タロット占をする方とは人間学に精通しているのかもしれません。
ボイストレーニングも、その方の声を聞けば、だいたいどうすれば良いか見えてきます。
でも、お客さんにも理想の声がある。
だから私は、その方のお立場や仕事の内容をよくお伺いしながら、ボイストレーニング・プログラムを考えることにしています。
タロットではありませんが、良い声がその人の人となりを表現できるようにお手伝いするのがビジネス・ボイストレーニング。
そして、単なるボイストレーナーではなく、これからはさらに人間学の深い世界を学んでいかなくてはならないと思っています。
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