みんなで食べても一人で食べる人々
先日レストランに行ったら、隣のテーブルに食事にきている男女6名のグループがいました。お祝いのようです。「おめでとう!」と言って乾杯していました。
しかし、その後が気になりました。
ほとんど会話がないのです。
コースの一皿目が終わると、食べ終わった人からめいめいに携帯電話を出して、ツイッターやメールを始めました。
このようなレストランにわざわざお祝いでくるのだから仲が良くないとは思えないのですが、会話くらいあってもよさそうだと思いました。
そんなことを思っていたら、6月22日の日経に「食事のペース大丈夫?」という記事を見ました。
周囲を気にせず、一人で速く食べてテレビを見始めたり、外食先では時間を潰すのに本を読み始めるなど、「食事を合わせようという概念がない」人が増えているとか。
内閣府が2010年にまとめた調査によると「食事の速さを周囲に合わせず自分のペースで食べる」がマナー違反だと知らない人が3割いたそうです。
その原因として「個人の尊重」をあげています。家庭で多忙な生活で家族がめいめいに食べる個食が増えたのです。
食事は個人のものになり、人に合わせる訓練がないため、それが苦痛になる若年層も多いのだそうです。
私は、食事こそ人と人のコミュニケーションの場だと思っています。
素晴らしい料理も大事だけれど、人との会話が楽しかったり、レストランのサービスが良かったところは心に残ります。
特にフランス料理などというものは、濃密なコミュニケーションの場としての文化的背景もあるくらいです。そこまで気合をいれなくともよいのですが、もっと気楽に食事や会話を楽しめるとさらに素晴らしくなるのに、と隣の6名を見ていてもったいないなあと思えてしまいました。
私は、お茶の世界でいう「一座建立」という言葉が好きです。
その場におもてなしをする側とそこに居合わせた客の心が通い合い、 気持ちのよい状態が生まれることを言います。
奇跡のような素晴らしい時間だと思います。