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中田喜直作曲 混声合唱組曲「都会」

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中田喜直さん(1923~2000)は、「ちいさい秋みつけた」「めだかの学校」「夏の思い出」などを作曲した人、と言えばご存知の方は多いのではないでしょうか。
 
中田さんの傑作の一つに混声合唱のための組曲「都会」があります。
1966年に東京混声合唱団による演奏で初演されたときは、かなり衝撃的だったそうです。メロディメーカーの中田喜直ではなく、芸術家・中田喜直の真の姿がそこに表現されています。
 
2011年5月14日、混声合唱団コール・リバティストの練習にバス歌手の佐々木先生をお招きしての稽古を行いました。
 
この日は「都会」の第一曲「星」から練習を始めます。
 
ご自身も♭5つ、6つが好きだというように語っておられますが、中田さんの曲は♭記号5つ、6つがとても多いのが特徴です。
♭が多いというのは、譜面を読むのが少し大変になります。要は、ドからシまで7つある音のうち6つまで全て♭がついているわけです。
合唱コンクールの課題曲を作曲なさったとき、あまりに♭が多いので、♯系の曲に編曲し直したということもあったそうです。
今は学校教育のおかげでしょうか、音符を読める人が多くなっているので元に戻しているそうですが、当時としては先を行くものだったのでしょうね。
 
以前マイケル・ジャクソンの「Beat it」の記事でも書いたのですが、♭を多く使う曲は、より複雑な心境を表現しやすい。まさに、現代人の共感を呼びやすい音楽なのです。
やはり♯系に書き直してしまっては、本来の色彩は出にくいかもしれませんね。
 
 
中田さんは、当時嫌煙運動の急先鋒でも有名です。小柄で、高音のハスキーボイス。もともとピアノ科出身のため、どの曲もピアノパートには大変なこだわりを持って書かれています。
 
前奏は、まるで満点の星空からキラキラと星が降り注ぐように始まります。
そのあとのなんという圧倒的な合唱。音の重なりが、共鳴し、広がり、さらに巨大な空間を感じさせます。
星空を目指すように高くそびえるビル。希望に満ちた未来を感じるような推進力が素晴らしい。
ソプラノとバスの音の高低差が広いことが多く、空間のイマジネーションがより大きく感じられます。そして、ガッシガッシとぶつかりあう音が、都会のエネルギーを、そこで働く人たちの未来へ向かう闘争心と希望を感じさせるのです。
 
この日は始めての稽古でしたので、音をとるのに四苦八苦。最後には、慣れてきて少しだけはまってきましたが、さらなる歌いこみが必要な曲であることは確かです。でも、ものすごくいい曲。頑張りたいですね。
 
もう一曲勉強中の「早春賦」は、なんと中田喜直さんのお父さんでもある中田章さんの作品なのだそうです。親子二代の作品を演奏することになるのですね。

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