究極のアンサンブルとは
合奏や合唱、重奏、またバンドなどもそうですが、一緒に合わせることをアンサンブルと言います。
では良いアンサンブルとは?
2011年4月30日、合唱団コール・リバティストにマエストロをお招きしての練習を行いました。
今は、新しく曲を勉強し始めていて、ブストというスペインの作曲家のアカペラ宗教曲を歌っています。
伴奏もなく自分たちだけで合わせる。これをアカペラと言います。
合唱におけるアカペラのアンサンブルは、究極だと思います。
ピアノの伴奏が入れば、安定した音で助けてくれるのですが、アカペラはそういうわけにはいきません。音をロストして分からなくなればそこまでなのです。
だから、アカペラの合唱をすることは、合唱人にとって怖くもあり、誇りでもあります。
この日マエストロは「指揮なんで見なくてもいいんです。お互いであわせてください」
とおっしゃいました。
究極のアンサンブルは指揮者がいなくても出来るのですね。
例えば、オルフェウス室内管弦楽団。
指揮者を置かないで、自分たちだけで演奏するオーケストラです。
「上手いオーケストラというのは、隣同士で合わせるんです。合わせるのが難しいところは、お互いで合わせる。常に指揮を見ているわけではありません。『あ、あいつはこう来るな』とわかっていて一緒にやる。それだけお互いを知り尽くしているんです。ものすごく上手いメンバーである日突然集まっても上手にいかない。全然ダメ。」
良いアンサンブルとは、相手がどういう音楽をするかわかることから始まるんですね。
現代屈指のリコーダー奏者フランス・ブリュッヘン率いる18世紀オーケストラは、一年に2度古楽のソリスト級名人が集まり演奏するオーケストラ。ブリュッヘンはこのオーケストラを作るために自分の私財をなげうっています。
ブリュッヘンの超人的な統率力で、個性豊かな名人集団が凄まじい名演奏を繰り広げています。新鮮な感動があり、これもまた名人だからこそ為し得る、もう一つの稀有なアンサンブルの形ではないかとも思っています。