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叱られて

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2011年5月21日、合唱団コール・リバティストにマエストロをお招きしての練習を行いました。
 
林光さん編曲の日本叙情歌集の中から「叱られて」。
林さんの手にかかると、普段着の日本唱歌が、なぜこんなにも美しくはかない芸術になるのか。最初の音が生まれる瞬間から、消え入るところまで、「次は何のハーモニーが来るのかな」と、ひと時も目が離せないほどです。
 
マエストロは、子どものころ叱られたときの話をしてくれました。
 
「ぼくには男の兄弟がいて、二人ともヤンチャだったからよく母親に叱られた。悪いことをすると庭の木に縛られるんだよ。みんなそんなことされたことある?昔の人は叱るとき木に縛ったんだ。そしてご飯をあげない。」
 
「父親がね、母親が見てないときに、手の平にご飯を盛る。その上にたくあんやお新香をのせる。そして、木に縛られている兄のところに持っていくんだよ。兄もお腹がすいている。手を縛られているから、夢中で口だけで食べてね。昔の人は叱るときも厳しかったなあ。」
 
「近所の子もよく叱られいたね。夕方外に出されて。”ごめんなさーい!”って大声で泣いててね。」
 
「叱る」という言葉で私がよく思いだすのは、お寺の和尚さんが、弟子たちを叱る場面。
決して感情的ではないけれど、厳しくて威厳がある。
叱られたとき、小さくなって「ああ、まずい!」と思えるような叱り方。
 
現代は表面的には厳しい叱り方ができない。
でも、なぜか虐待を受けたりして亡くなってしまう子どもたちが後を立たない。
心が冷たくなってしまう瞬間です。
 
この日は、「叱られて」のほかに「早春賦」、「待ちぼうけ」、中田喜直作曲の都会より「星」を練習しました。
 
「星」は音同士のぶつかりあいによって発熱するような強烈なアンサンブルが要求されます。はまったらもう聴き手は興奮せずにはいられない演奏効果抜群の曲。
 
この曲の場合、「美しくハモっている」というよりは、「クラッシャーしている」ところにしびれを感じる。そんなハモリ感覚に持っていくといいと思います。
わざとぶつける。ぶつかる。いつもならば、ぶつかって引くところを引かない。そんなところに面白さが隠されています。
 
5曲の組曲になっていて、あと4曲も非常に面白い。
楽しみです。

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