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ライフワークとしての学びを考えます。

接着剤の開発で技術者が必要なくなる 今後、人の手を機械が代用していく時代がさらに進むのだろうか

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かつて国産ピアノが売れてた頃。ピアノを買うと調律が3回分サービスでついてきていた時代があったと言います。

しかし、ある時期から1回になりました。
 
時を同じくして、ある国産ピアノメーカーは、ピアノの接着剤の開発を行います。
技術者が手作業で行わなければならなかったものが機械でも接着できるようになったのです。
 
その結果、工場で5人の技術者が必要なくなりました。
 
 
あるドイツの有名ピアノメーカーの名器は、シェルラッカーと呼ばれている昔ながらのラッカーで塗装しています。
大変柔らかい塗料で、重いものを長い間上に置いておくと表面がへこんでくるほどです。だから傷もつきやすい。
でも、独特の吸い込まれるような深みのある黒が美しいのです。
 
色が美しいだけではありません。柔らかい塗料を使うことで微妙な振動が伝わるのです。この塗料だからこそ出せるピアノの響きというものがあります。
 
ただ、このラッカーは、技術者が手作業で塗らないとならないので、時間も手間もかかってしまうのです。
 
最近のピアノの表面は、プラスチックの板を貼り付けています。
このほうが、手間もコストも少なくてすみますし、傷もつきにくいのです。
また、湿気による影響をうけにくく、湿度の高い日本の気候にも合っています。
管理やメンテナンスもより簡単で扱いやすいのが特徴です。
 
接着剤にしても塗料にしても効率的で利便性はよくなりました。ただ、どうしてもピアノの響きそのものが変わってきてしまうことは確かであると思います。
 
最近は、今まで職人が手作りでピアノを作ってきたかなりの部分を機械で代用できるようになってきています。
この世界でも、貴重な知識や技術を持つ職人がいなくなりつつあるのです。
モノづくりも大事ですが、人材はもっと大切だと思います。
 
経営の視点からすると、効率や生産性、低コストは大事なことです。
 
しかし、こだわりを持っている本当の顧客は必ずいます。
特にピアノが売れない現実を考えると難しいことかもしれませんが、そういう人たちを感動させるようなモノづくりをしてもらえたらとつい思ってしまうのです。
 
私は、楽器は音こそ全てだと思っています。

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