名器スタインウェイも中国製となる時代が来るかもしれない
ドイツの有名ピアノメーカーの工場で働いていた技術者の方と話していました。
「ついこの間、ドイツのB社に行ってきたんですよ。
以前働いていた工房で、良い中古がないか見に行ってきました。
良いものが日本で買うより100万ぐらいは安く買えましたよ。」
新品はどうでした?と伺うと、
「う~ん、新品は良いのがなかったですね。残念ながら。
自分が師事していた腕の良いマイスターが数年前から中国に引き抜かれてもうドイツにはいないんですよ。」
B社経営陣は、「世界制覇をする」と会社を上げて宣言しています。
しかし、本来のピアノは、マイスターと言われる職人が全てを手作業で作る世界。
そこには、親鳥が雛に口移しで餌を与えるように、受け継がれてきた伝統技術というものがあります。
そして初めて素晴らしい音色を奏でるピアノが誕生するのです。
経営者が入るということは当然、利益を上げなければなりません。
作り手側は、音楽のための楽器という考えです。
経営者の方針に対して、マイスター達が反発をし、次々と辞めていってしまったそうです。
その中で最も重鎮であるドイツ人マイスターが、現在、中国のあるピアノメーカーにいます。
「中国は自分の好きなようにやらせてくれる」
ドイツ人マイスターはそう言っているそうです。
貴重な一流の技術と人材が中国に流出しつつあると話していました。
あの名器スタインウェイの出したスタィンウェイ・ファミリーピアノ「エセックス」。
中国製です。
アメリカ・ニューヨークとドイツ・ハンブルクの2箇所に生産工場を持つスタインウェイが中国で廉価版を作っているのです。
スタインウェイの音を期待していくと、ちょっとがっかりするかもしれませんが、値段の割には、良い出来です。
個人的に、もし同じ金額を出すならば、国産よりはこちらを買うと思います。
ピアノの世界でも、中国の勢いは止まりません。