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音大を出ていなくても演奏会で聴衆を感動させる人たち

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小~中学生の音楽教室で、音高、音大時代と、合唱はかなり歌ってきたと思います。
私の母校は、7年間、合唱は必須科目になっていました。
 
指導者は、合唱界の大御所のような先生をお招きして練習を行っていました。
授業において、いつも素晴らしい叡智に満ちたお言葉をいただき、今でも心の宝となっています。
学生時代、合唱のある金曜日5時限目は待ち遠しくてワクワクするような時間だったのです。
 
全ての学生がそうであったらよかったのですが、現実は違いました。
単位をとるために仕方なく出ている学生がいたことも事実です。
ピアノ科の学生のみで歌う合唱でしたので、「合唱するためにここに来ているわけではない」「アンサンブルなら室内楽をしているし、それでいいじゃないか」「ピアノをさらいたい」と思う気持ちも理解できます。
当然だと思いますが、学内の作曲家の先生が書いた曲を歌うことも多く、「日本語の合唱はダサい」というイメージからか、食わず嫌いをしている人もいました。
 
そうは言っても、やはり単位をとらなくてはなりません。
授業に出席はするのですが「一週間ぶり~」と言って譜面を開く人も大勢いました。
全員、ソルフェージュ(楽譜を見てすぐに正しく歌う)能力があるので、その場ですぐにパッと合ってしまいます。
表面的には整っている演奏はすぐに出来るのです。
「せっかく素晴らしい先生をお呼びして、こんな素敵な曲をやっているのに、もったいないなあ」という思いを常に持っていました。
 
あるとき、知り合いから一般大学の合唱団定期演奏会の招待状をいただきました。
他の大学生がどんな音楽をしているのか、勉強のために行ってみることにしたのです。
どうせそんなに上手ではないだろう、と高をくくっていました。
 
第一声を聴いて「えっ?」と思いました。
・・・上手なのです。
アンサンブルがビシビシ決まります。
 
良く見ると、学生に混じってOBも歌っているようでした。
経験不足の学生をOBが上手くカバーしながら、盛り立てながら歌っています。
でも、バラバラ感は皆無で、若い声と熟練した声が上手くブレンドして、安定感のあるまとまった響きをしているのです。
 
ソロ部分もあり、これも物足りないかと思ったらそんなことはありません。
伸びのあるみずみずしい素直な声で、演奏によく合っているのです。
これが、いきなりオペラ・アリアのように歌い上げてしまったら違和感があったかもしれません。
 
演奏会では、日本の歌から、ドイツ語の曲、黒人霊歌まで、一気に聴かせてくれました。
 
どんな練習をしているのか、チケットを下さった知り合いに聞いてみました。
週3回の練習に、週1回はOBと合同で練習しているそうです。
驚いたことに、音符がまだ読めなかったり、またはやっとこさ読めている団員が多いと話していました。
 
音大生が、週一回あわせている合唱より説得力があるように思えました。
音が合っているだけの私たちのハモり方と全く違うのです。
それから、他の合唱団も気になり、たくさんの合唱団を聴き歩きました。
 
合唱は、そこにいる全員の気持ちが一つになることで、技術や才能を超えた演奏が出来るのではないか、ということに気がつきました。
仕事を別に持ちながら、純粋に音楽と合唱が好きで歌っている方々がプロ顔負けの演奏を繰り広げているのです。
こういう素晴らしい合唱文化がさらに発展し、100年後200年後も続いてほしいと思っています。

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