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「おいしさ向上宣言」でプレミアムローストコーヒーをリニューアルするマクドナルドが、たった100円でこのクオリティーを出せる企業力

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 昔はお茶を飲む頻度が高かったけれど、最近はコーヒーの頻度が上がっている。朝晩2回は家でもちゃんとハンドドリップで豆から落としているし、外出中も2杯ほどはコーヒーを飲むことが多い。なので、1日に少なくとも4杯はコーヒーを飲んでいる気がする。

 外でコーヒーを飲むのはスターバックスのようなカフェやオフィス(と言ってもコワーキングスペースのようなところ)だ。缶コーヒーは飲まないし、インスタントしかなければお茶にするので基本的にはレギュラーコーヒーだ。ちなみにインスタントコーヒーに対するレギュラーコーヒーという言葉は日本独自の和製英語のようで、英語圏では豆からドリップしたコーヒーという意味では使われないようだ。

 自分はコーヒーの味にうるさいほうではないと思っている。ストレートなコーヒーだけでなく、砂糖は入れないけれどカフェラテやカプチーノなどもよく飲む。とはいえ、今思いだしても20年くらい前の米国で一般的に出されていたコーヒーは、本当に美味しくなかったなぁと。それがスターバックスのようなカフェが登場して以来、米国の大抵の場でそれなりのコーヒーを味わえるようになったのはちょっとうれしい。

 ところで、日本のちまたで安くてそれなりに美味しいコーヒーが飲めるのがマクドナルドだろう。マクドナルドでは、2008年にプレミアムコーヒーを発売し、いわゆる100円で本格的で美味しいコーヒーを提供する先駆けとなった。その後2011年には味を調整し、最近に至っている。

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 そんなマクドナルドは、いくつかのトラブルや戦略の失敗もあってか、一昨年ころまで業績が低迷していた。そこで昨年からビジネスの回復を目指しさまざまな戦略を積極的に打ち出している。結果、昨年後半からかなり業績も回復。日本マクドナルド 代表取締役社長でCEOのサラ・L・カサノバ氏も業績は好調で、さらなる回復を目指して引き続き顧客の店舗体験の向上を目指すと言う。

 カサノバ氏は、マクドナルドのビジネスの要となるのが「メニュー」だと言う。「メニューはマックの成長戦略の中核です。これからも美味しい商品の数々を届けることをお約束します」とのこと。そのために2017年1月12日に新たな戦略として掲げたのが「おいしさ向上宣言」だ。マクドナルドの商品のおいしさを改善して強化をし続ける。そして新製品だけでなくレギュラーアイテムについても、さらに美味しくしていく。そして、この「おいしさ向上宣言」の第一弾として発表されたのが、新しいプレミアムローストコーヒーホットだ。

 日本マクドナルド ナショナルマーケティング部 上席部長 小室武史氏は「2013年頃からコーヒー市場に多種多様な企業が参入していまFullsizeoutput 6990す。その結果、多様なコーヒーが楽しめるようになり、顧客のコーヒーの指向もさまざまに変化しています。その変化に合わせて、マクドナルドのホットコーヒーもリニューアルさせます」と言う。カサノバ氏も「豆も、焙煎のプロセスも1から見直しました。コーヒー好きの人にも必ず納得してもらえるものです」と自信を見せる。

 今回のリニューアルでは具体的に利用する豆の種類を従来の3種類から4種類へと増やしており、豆の焙煎方法も変えている。さらにドリップについてもこだわり、ハンドドリップと同じように蒸らしの工程を入れ、90度の温度管理のお湯でじっくりとおいしさを抽出できるマシンを従来通りに使っている。またカップも改良した。紙製の白いカップにマックカフェのロゴをあしらい、紙の白さでコーヒーの透明感を引き立て、見た目にもおいしさを感じられるようにしている。

 実際に豆は従来の3種類のアラビカ豆、ブラジル、コロンビア、グァテマラに加え、エチオペア産のモカを追加している。豆の焙煎は種P1120011類ごとにも変えて5種類の焙煎を行い、それぞれの豆のおいしさを引き出している。日本マクドナルド メニューマネージメント部 上席部長の若菜重昭氏は、「プレミアムコーヒーの味を変えることは勇気のいることでした。さらにおいしくすることは、ハードルの高いことでした」と振り返る。とはいえ、消費者の嗜好も変わっているので、チャレンジして5年ぶりに味を変えることに成功したと。その結果リッチな香りと味わいに変化し、これまで飲んできた人にも、新たに飲む人にも納得してもらえるものになったはずだと言う。

 自信作ができあがったマクドナルドでは、値段は据え置きのSサイズ100円、Mサイズ150円という安さという価値も提供し続ける。これだけ改良しても値段を上げなかったのだ。さらに1月16日から20日の5日間は「ホットコーヒーを売りませんキャンペーン」で、朝の7時から10時までの間にSサイズのコーヒーを無料で提供するとのこと。期間中200万杯以上のコーヒーを提供する予定というのだから、かなり太っ腹なマーケティング企画だ。さらにプレミアムコーヒーを飲んだ印象を星の数でTwitterにつぶやく「星いくつ?キャンペーン」も実施、こちらは抽選で1,000円分のマックカードが200名に当たるそうだ。

 発表会で試飲した印象は、モカを加えたという話を聞いたせいもあってか、ほどよい酸味を感じる上品な味に仕上がっているように思Fullsizeoutput 69b4えた。発表会では自宅で生豆を焙煎してコーヒーを飲んでいるという俳優の筧 利夫氏やコーヒー鑑定士の中平尚己氏が試飲し、彼等も香りの良さにを指摘していた。

 いまはコンビニに行けば、100円程度でたしかにそこそこ美味しいコーヒーを気軽に楽しめるようになった。とはいえ、さらに1ランクも2ランクも上のこだわりの原料と方法で淹れているコーヒーを、たった100円で提供できるマクドナルド。その企業力には、正直驚かされるところだ。規模の経済というか、マクドナルドが大きい規模のビジネスを持っているからこそできる価値だろう。

 このプレミアムローストコーヒーがあって、さらにマクドナルドの店舗の椅子がもう少し座りやすく快適になれば、コワーキングスペースなどではなくマクドナルドで仕事をする機会も増えるかもしれない。まあ、そんな顧客はあまり歓迎されないかもしれないけれど。

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