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エンタープライズレベルのハイブリッドクラウドを使いこなす際の技術的なポイントはコンテナ技術 #IBMInterConnect

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 さて、IBM InterConnect 2015では、ハイブリッドクラウドに対する強いメッセージが打ち出されている。しかしながら、現実的にハイブリッドクラウド環境を使いこなしているという日本の企業はまだまだ少ないだろう。

 ハイブリッドと言っても、せいぜいデータの連携をしている程度で、アプリケーションの要件などでうまくパブリックとプライベート、さらにはオンプレミスを使い分けている。さらには負荷状況などに応じて、アプリケションを移動させているなんて例はほとんどないのでは。技術的にできるということと、それを実装して使いこなすというのには距離がある。

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 そんな疑問を、IBM Cloud Strategy担当のバイスプレジデント モー・アブダラー氏に訊ねてみると、ハイブリッド・クラウドを実現していくためには6つのチャレンジがあると言う。

 1つめがインテグレーション、統合だ。これにはアプリケーションの統合、データの統合、インフラの統合という3つがある。これまで利用してきたこれらを統合するための技術は、組織の中で使えるものだった。その同じものが組織の外でも使える。なので、それを使って統合化をすすめることがまず挙げられる。

 2つめが、ローカライゼーション、これは自分が欲しいところにデータを置けるようにすることだ。クラウドかオンプレミスかは、利用者にとって利用しやすいかどうかで決める。持って行くべきでないものを無理にクラウドに持って行く必要はない。

 3つめは、シームレスなデリバリーだ。アプリケーションがクラウドでも企業のデータセンターで使われるとしても、それは1つの同じプロセスでありたい。モバイル用に1つ、うらのサーバーで動くOracle Database用に1つというのは無駄だし複雑化する。アプリケーションがどこに配置されていても、プロセスとしては同じものが動くようにすべきだ。

 4つめが運用の可視化だ。これについては、これまでに分散システムの性能を見極めるために、相当の金額を投資してきたはずだ。その投資の結果は、基本的にはハイブリッドクラウドでも使える、いや使えなければならないだろう。

 5つめは、ポータビリティだ。このポータビリティは、まさにクラウドならではのもので「これはわくわくするものです」とアブダラー氏は言う。統合するのでではなく、移動させたいときにシステムを移動できるようにすること。これは、多くの場合、アプリケーションはデータのそばにあればパフォーマンスがいいということがあるので、データが発生するそばに置くべきということでもある。

 6つめが、セキュリティだ。「これは外せない」とアブダラー氏。ハイブリッドクラウドにおいて考慮すべきセキュリティにはさまざまなものがある。アクセスコントロールや、ID管理、認証、外部からの脅威への対策などがそれで、それらへの対応を企業は欠かすことができない。

「6つのポイントは、今、必要なことですが、今後も外せないことです」とアブダラー氏。そしてこれら6つを考慮した上で、構築する際のデザインの基本としてはオープンスタンダードでなければならないとも指摘する。

 このハイブリッドクラウドを実現することは、企業にとってはチャンス、つまりビジネスが発展する力になる。たとえば、レンタカー会社がモバイルアプリケーションを提供する状況を考えてみる。ユーザーが海外から成田空港に到着したときに、そのアプリケーションでは「お帰りなさい、セクション5に予約していただいたお車をご用意しました」とプッシュで通知することができる。これは「今」のモバイルアプリケーションの現実だろう。

 しかしこれが、レンタカー会社のバックエンドのシステムとハイブリッドクラウドで連携するとどうなるのか。たとえば在庫管理の仕組みをつなげると新たなソリューションを展開できる。つまり、5番に車があるという情報だけでなく、「たとえばあと少しお金を足せば、より大きな車にできますよ」と情報を出すことができる。これが実現化できれば、ビジネスチャンがは大きくを広げられることになるのだ。

 さて、そんなハイブリッドクラウドで重要になるのが、コンテナ技術だと言う。これを使うことで上記6つの多くのことがスムースに動き始める。であるからして、IBMはこのコンテナを作るし、それに多大な投資も行っているとのこと。ハイブリッドクラウドを目指すのなら、コンテナの技術の理解と使いこなしがどうやら必要になりそうだ。

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