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鳥のように高いところからの俯瞰はできませんが、ITのことをちょっと違った視線から

クラウドはSaaSやPaaSが本命だと思う理由

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 先週はOracleがOracle Marketing Cloudでマーケティングの世界に本格参入することを表明、そして今週は経営管理ソリューションのOracle Hyperionをクラウドで提供すると発表し、2020年の「クラウドといえばOracle」になるという目標に向かっていよいよ具体的なアクションを加速させてきた感がある。

 いずれのOracleのサービスもSaaSでの提供だ。現状、クラウドと言えばIaaSのイメージが強い。とはいえ本来のクラウドのメリット、つまりは手間なく必要なものをオンデマンドで受け取れるということを考えると、IaaSよりもSaaSやPaaSのほうがよりクラウドらしい気がしている。

 IaaSだってコンピュータリソースをオンデマンドで受け取れるわけだが、ユーザーは本来コンピュータリソースが欲しい訳ではなく、その上で動いているソフトウェアなりで実現するサービスを利用したいからだ。

 もちろんIaaSがなくなる話しではない。オンプレミスで動いているサーバーなどは、多くがこれからもクラウドへと移行を進めるはず。IaaSのビジネスは当分は拡大基調にあるのは間違いない。

 とはいえ、今後はSaaSもどんどん増えてくるだろう。IaaSはAmazon Web Services、Microsoft Azure、IBM SoftLayerという3大プレイヤーになんとなく集約されつつある気もするが、逆にSaaSのほうはどんどんプレイヤーが増えることになるのではないだろうか。

 少なくとも先行しているSalesforce.comがSaaSの世界すべてを独占するというものではなさそうだ。もちろん、Salesforce.com自体は、今後もポートフォリオを増やしさらなる領域の拡大を進めるとは思うが。

 とくに今後拡大が期待されるMarketing Cloudの世界などは、まさに群雄割拠だ。それぞれのベンダーに強み、弱みはあるものの、こここそが大本命といえるところはまだない。話題作りが旨いので海外ベンダーが目立っているけれど、国産のサービスもそれなりに実績ある領域だ。今後どのような勢力図が展開されるのか、ちょっと目が離せない。

 ちなみに、先日のOracleの説明会では、包括的なマーケティングサービスを提供するライバルとしてIBM、アドビシステムズの名前を挙げていた。Oracle同様に両社とも基礎体力は十分にあるので、この領域で小さいながらも専門性の高いサービスを提供していることで現状は優位性があると思っているようなところも、今後はうかうかしていられない。

 話しは少し戻って、今後のIaaSのベンダーの戦いはいかに自分たちのサービスの上に優秀なSaaSやPaaSを誘致できるかなのではないだろうか。そういう見方を始めると、エンドユーザーに評価されるサービスであることも重要だが、SaaSなりのサービスベンダーがどんなポイントでIaaSを選ぶのかも興味深いポイントとなりそうだ。

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