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IoTやM2Mって本当に爆発的に普及するのだろうか

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 2020年のM2M世界市場は3兆8,100億円に達するという調査結果がある。右肩上がりでの市場拡大が期待されることもあり、IoTやM2Mは今大注目のITキーワードになりつつある。

 テラスカイが開催したプレス、ブロガー向けのIoT/M2Mへのクラウド活用の勉強会で、テラスカイ 取締役の松岡弘之氏は、分析や管理を行うクラウド、ネットワークを含むプラットフォーム、そしてM2Mデバイスという3つのM2Mのプレイヤーがあると説明した。この3つをすべて揃えるのはじつは難しく、そういった面から今後爆発的に一気にIoT/M2Mが普及するのは難しいのではと言う。

M2m

 現状は、企業ごとやサービスごとにこの3つの要素があり、1つのM2Mデバイスが、複数の目的で使われるようなことはあまりない。将来的に普及を拡大するには、M2MデバイスやM2Mネットワーク、プラットフォームは共有出来るようにして、その上にM2Mのデータを活用するさまざまなアプリケーションが載るという形になる必要がある。

 この垂直型から水平型への移行、じつはそう簡単ではない。各社がバラバラに動いてい、それぞれの層を跨がって音頭をとるようなリーダーもいないし、当然ながら簡単に相互接続できるようにするための標準化も進んでいない。結果的には、先行する企業などが垂直型のM2M、IoTを独自に進めているというのが現状だろう。

 とはいえ、独自であっても広がっているのは間違いない。身近なところでは自販機などには通信の機能があり商品のタイムリーな補充などにすでに活用されている。さらに電気自動車や航空機のエンジンなどでは、予防保守などにセンサーから得られるリアルタイムなデータをクラウドで収集して活用する試みが始まっている。実際、テラスカイのようなデータ連携に強いクラウドのインテグレーター、サービスベンダーにはセンサーなどを提供しているメーカーなどからIoT的な何かができないかと問い合わせも増えているのだとか。

 もう1つ普及に水を刺しそうなのがセキュリティの課題だ。『家電や自動車がサイバー攻撃の対象になる時代の情報セキュリティを考える』という記事にもあるように、ネットワークにつながる機器についてはセキュリティを考える必要がある。家電や自動車のように、組み込み型のOSなりが動くような機器ならば、コストをかければそこにセキュリティやアクセス制御の機能を実装することもできるだろう。ところがセンサーのようなものだと、セキュリティ機能を実装できるとは限らない。IoTなりが本格的に普及する段では、いかにしてセキュリティの課題を解決するのか。ここの解決なくしては爆発的な普及は難しいのかもしれない。

 それともう1つ、とにかくネットワークに繋げば良いというものでもない。たとえば、エアコンに外からスマートフォンでアクセスしてコントロールできるというような話があるが、それができることが本当に便利なのだろうか。つながって人が制御しなくても自動で最適な温度なりにしてくれることのほうが本来は便利なはず。常につながりデータをクラウドに上げて指示を仰ぐのではなく、基本は自律で必要な時に必要なデータをとりに行くというようなものも必要となるだろう。

 決まったサーバーやアプリケーションにつながるのではなく、ネットワークにエージェントのようなものを放ち必要なエータを集めて帰ってくる。それを利用して自律して自動制御する。こういったものは、IoTのさらに先にある世界なのかもしれない。

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