オルタナティブ・ブログ > むささびの視線 >

鳥のように高いところからの俯瞰はできませんが、ITのことをちょっと違った視線から

先週はラスベガスでIBMに洗脳されてきました

»

 先週は、IBMのイベント「Information On Demand」を取材するために、ラスベガスに行っていた。いくつか海外取材にも行っているのだけれど、じつはラスベガスは今回初。カジノで一発とも思ったが、結局、ラスベガスらしいことは一際せずに時間は過ぎていった。これは次回に期待か(次回はあるのか?)。

DSC 1790 
今回のイベントのテーマはビッグデータとアナリティクス。それもハードウェアの話ではなく、基本的にソフトウェアの話だった(クラウド含む)。個人的に面白いなと思ったのが、あのクイズ番組で優勝した「Watson」が、アナリティクスのビジネスの世界で活用されているということ。現時点ではまだ製品化にいたっていないが、質問となる文章の意味を理解し、その上で最適な解を探してくれるというのが、ビジネスの世界で活用され始めている。

 Watsonを使えば質問と回答を何度か繰り返し、目的の答えにたどり付くこと可能となる。これがキーワードマッチングやルールベースではなく、たとえばこの言葉は時間を意味し、これは場所といった、単語や文脈を理解し答えを探してくれる。

 医療分野での適用が早くも始まっており、近いうちに医師の資格試験にWatsonが合格できるのではというのだから、これはかなり驚くところ。コールセンターなどでの応用は、すぐにでも始められそうだ。Watsonは学習することでさらに答えの精度が上がる。最初の製品サービス化は来年度に予定されており、クラウドのサービスとしてまずは登場する。ただし、残念ながら日本語という複雑な言語への対応は、いまのところ未定だ。

 もう1つ、面白い露出の仕方だなぁと思ったのが、BLU Accelerationだ。これ、DB2の新たな機能として先日発表されたもの。カラム型でインメモリーというあたりが肝となる機能だ。じつは、今回のイベントでは、このBLU Accelerationというのはかなりフォーカスされていた。反面、旧来のブランドというか製品である「DB2」というのはほとんど露出されていなかったのだ。

 これは、マーケット戦略的に意図的にそうしていたのだと思われる。DB2となってしまうと、どうしてもOracleやSQL Serverとの比較的な話になり、それはビッグデータやらアナリティクスを語るときに、むしろ議論の本質を外しかねない。ということであれば、より性格がはっきりしているBLU Acceleration 1本押しでいこうというのは、利にかなった戦略なのではないだろうか。

 ところで、こういった海外イベントの取材に行くと、1週間程度の期間、そのベンダーの「いいところ話」にどっぷりと浸かることになる。なのでむしろ、なるべく穿った見方もするようにしているのだけれど、さすがにこの「どっぷり感」は強力で、かなり洗脳されて帰ってくるのが常だ。まあ、いいと思ったものは、素直にいいと表現することに問題はないのだけれど。

 じつは来週、Salesforce.comのイベントに参加するために、サンフランシスコに行く予定だ。IBM色の少し濃いめの青が、Salesforce.comの空色に一週間でうまく塗り替わるだろうか。それは「ベンダーのいい話のどっぷり感」次第かな。

Comment(0)