電子書籍をビジネスにするためのいまいまの課題
近々に、電子書籍やiPadを活用したビジネスの発表をしたいなぁと思って準備しているところだ。
実際、この領域のビジネスについてすでにいくつか引き合いもあり、感触は悪くない。とはいうものの、多くの場合、その内容はまだまだ柔らかいものが多い。電子書籍やiPadを使いたい、使わなきゃと思ってはいるけれど、具体的な利用形態やその上でのビジネスゴールが描けていないこともままある。まあ、あまりに変化が早いので、とにかく時代に乗り遅れないようにしなきゃという焦りの状況なのだろう。
そんな中で、我々がいまのところ照準を当てているのは、iPadや電子書籍を活用したBtoBのビジネス領域。対コンシューマ市場のところは、財力、体力のある大手連合にかなう術もないので、ニッチでもいいからBtoBでいち早く活用に着手したいところ。そして、そういう先進的な考えを持っている人たちと、この先は仕事を一緒にしたいなと思っている。
そんなこんなで、いろいろと調査や実験などしながら、ビジネス化のためのサービスメニューを急ぎ検討している。ところで、調べていけばいくほど、現状にはさまざまな課題があることが見えてくる。まあ、課題を明らかにすることも、自分たちのノウハウに繋がっていくので、それでめげているということではない。
まず課題として挙げられるのが、現状で電子書籍を国内に流通させるための最適な市場が見あたらないこと。アマゾンもアップルも、日本語に正式対応した電子書籍流通の仕組みはまだない。課金しながら広く配布したいと考えると、現状ではアプリ化しAppStore経由で販売することになる。じつはこれがまた、敷居が高い。というのも、アプリ化は通常のプログラム開発と同じことになるので、それなりに大きなコストが発生してしまうのだ。販売単価が安くなる傾向のある電子書籍では、この最初のアプリ開発費用を捻出するのが、けっこう大変だったりするのだ。アプリ化については、ここでは詳細に語れないけれど技術的にも厳しい状況がちらほら見えていたりもして、なかなか一筋縄ではいかない状況だ。
さらに、アプリ化にこのタイミングであまり大きな手間をかけてしまっても、年末以降のどこかのタイミングで、アマゾンやアップルが本格的に日本で電子書籍流通のビジネスを開始してしまえば、その苦労が報われない可能性もある。なので、現状で電子書籍をアプリにするのならば、独自のインタラクティブな仕組みを組み込むなど、アプリならではの付加価値を別途考えておく必要もありそうだ。
もう1つが、現状ではある意味唯一の端末であるiPadが、相変わらずなかなか手に入らないこと。いまのところ、AppleStoreのオンラインで注文して納期は2週間以上かかるようだ。そのため、開発、デモ用に社内で入手したいと思っても、すぐに対応できない状況だったりするのだ。BtoBのビジネスを考えた際には、このあたりもかなり厳しい条件になるかなと。
課題は見えつつも、iPadや電子書籍の活用は、今後は必然の方向性だと確信している。そして、現状はそれへの大きな変化の中にあるわけで、いまいまでこれをやっておけば正解というのがなかなか見つけにくい状況だ。であれば、いち早く参入して、その中で中小の身軽さを最大限に活用し、変化に迅速かつ柔軟に対応していくしかない。そういう意味では、現状の課題を冷静に見つつ、勝馬を見極めてそれに乗り遅れないようにすることが大事だなと、思っているところでもある。