むささびの視線:ITmediaオルタナティブ・ブログ (RSS) むささびの視線

鳥のように高いところからの俯瞰はできませんが、ITのことをちょっと違った視線から

 先日は、地熱発電が良さそうだという話題を取り上げたが、ミドリムシもかなり行けそうだという話があるようだ。

 ミドリムシ、そう、中学生くらいの理科の時間に習ったあれ、いわゆる顕微鏡で観察するような原生生物だ。植物なのに鞭毛という触手みたいなものを持っていて、動き回るという動物的な特質も持つことからこの名前が付けられている。植物なので、当然ながら葉緑体を持っており光合成を行う。

 このミドリムシから、藻類バイオ燃料を生みだそうという研究開発が行われており、実用化を目指し動き始めたようだ。新日本石油と東京大学発のベンチャー企業であるユーグレナが共同して、5年後を目処に事業化するとのこと。

 ユーグレナのブログによるとミドリムシは、

光合成を行い、二酸化炭素を吸収して成長しますが、実はこの時にバイオ燃料の元となる油を作り出すんです。油を抽出した後の残りは、栄養価バツグンで動物の飼料などに使えるため、「循環型」システムになると言えます。

とのこと。この油の部分を抽出して精製して燃料にするわけだ。ミドリムシは、燃料となる油の抽出効率がいいらしく、サトウキビやパーム椰子なんかに比べても、単位当たりに換算するとはるかにたくさんの油が得られるのだそうだ。

 サトウキビなどの植物からバイオ燃料を取り出すことには、じつは懐疑的な意見も多い。そもそも本来人間の食物となるものを利用するのはいかんとか、原料となる植物を生産するのに農薬や肥料をたくさん使っていたり、収穫のためにガソリンで動く重機を活用していたりで、多くのCO2を排出するというのだ。

 藻類バイオ燃料の課題は、いかにしてたくさんのミドリムシを、低エネルギーで培養できるかというところにある。ミドリムシをたくさん作るのに多大なエネルギーが必要と云うことになれば、たしかに意味がない。ユーグレナでは、ミドリムシの効率的な大量培養に成功しているとのこと。事業家を目指し、さらなる大量培養を目指しているわけだ。

 さらにこのミドリムシ、油だけなく体内には人間が必要とする栄養素のほとんどが含まれているらしい。というわけで、ミドリムシを大量に含むクッキーなんかもユーグレナでは生産して販売している。

 このようにミドリムシがエネルギー問題、地球温暖化の問題を解決し、世界の食糧問題すらも解決するのかもしれないわけだ。この話、じつは昨今話題の生物多様性の話題に繋がる。ミドリムシはまあ珍しい原生生物ではないかもしれないが、このように原生生物なり菌なり微生物なりが、将来的に人間の生活に大きな貢献をもたらすかもしれないわけだ。そのため、これら微細な生物や菌が多様に存在する環境を確保していこうというのが、生物多様性確保活動の1つの大きな理由だ。

 微生物やらを守るためには、大型の野生動物を守る必要がある。いわゆる循環というやつだ。植物は動物に食べられ、その動物はさらに上位の捕食者に食べられる。そして、動物の死骸や植物の枯れ葉などは、昆虫や微生物などの食料や栄養になるわけだ。これらさまざまな生き物が関わる循環のなかで、どこか1つのパーツが欠けるだけでも生態系バランスが崩れ、種の多様性は確保できなくなる。

 世界自然遺産の白神山地。ここの土壌にはたくさんの未知なる微生物やら菌やらがいるらしい。将来的にはそのなかから難病の特効薬が生み出されるかもしれないし、ミドリムシのような有用な生き物が見つかるかもしれない。だからといって、その土壌だけを残すとことはできない。そこにある土壌は、白神山地という生態系の中にあるからこそ存在するもの、守るには白神山地というそこで生きるすべての動植物を含む環境全体を保全していく必要があるのだ。

 こんなことを考えながら、ミドリムシクッキーを食べてみるのもいいかなぁと。

kouta

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有限会社タルク・アイティー 代表取締役社長、ブレインハーツ株式会社 会長

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